2021年3月11日、米国ベンチャー企業のQardioが、同社が開発する携帯型のECG(心電)ウェアラブルデバイスで米国FDAの医療機器認定である510kクリアランスを取得したことを発表した。

連続的にECG(心電)を測定

Quardioは2012年に米国で設立されたベンチャー企業で、ECG(心電)を測定するモバイル型のデバイスを開発している。

現在、Apple WatchやFitbit Senseで測定可能なECG(心電)は、測定時に静止し、時計をしていない方の腕の指を電極にあてることで測定をする。ECG測定を自宅でも簡易にできるようにした一方で、都度、測定という動作を行う必要があり、連続的に測定することは難しい。Qardioのデバイスはホルター心電計のように、体に装着し、連続的にECGを測定するデバイスとなる。

このQardioCoreというデバイスは、特別な準備を必要とせず、ジェルや接着剤、またはパッチを必要としない。ユーザーである患者は簡単に装着したり、取り外しして使うことができ、診療所でのフィッティング作業が不要であるという。

同社公開の動画への直リンク
2年前の動画だが、QardioCoreのデザインは変わっていないため利用の様子などは参考になる

QardioCoreで測定したデータはQardioMDというシステムを通してクラウドに送られる。QardioMDのダッシュボードを通して、患者は自分の測定結果を閲覧でき、また医師もデータをモニタリングすることが可能だ。

Qardioの共同創設者であるRosario Iannella氏は、次のようにコメントしている。 「QardioCoreにおける我々のゴールは、患者とケアプロバイダにとってより良い体験を作り出すことです。患者にとっては、従来の機器に比べて大幅に不便さを減らした体験となるでしょう。そして患者にとっての利便性向上は、患者にとっての計測順守に繋がります。そのため、このデバイスのデザインにより、高い診断率を実現できるでしょう。」

このQardioCoreは、無症候性の患者や、心臓の状態について疑わしくモニタリングを要する患者を治療する際に、医療専門家が使用することを目的としている。2021年半ばに米国でサービスを開始する予定となっている。

(今回参考のプレスリリースはこちら


2021年に注目すべき、デジタルヘルスの健康・ヘルスケアモニタリングや解析技術の動向について整理した。技術の全体像について知りたい人はこちら。

参考:(特集)2021年デジタルヘルスの技術動向 ~健康・ヘルスケアモニタリング / 解析~


ー 技術アナリストの目 -
QardioCore自体は2015年前後にはすでに開発されており、米国FDAの510kクリアランスを取得するまでに実に5年以上かかったことになります。ホルター心電計を代替する機器として期待され、まずは医療専門家が患者の診断のためのサポートツールとして使うことになりますが、今後、連続的に取得されたECGデータを解析して、症状の兆候検知などに繋げられると面白そうです。ただし同社はハード・システム側に強みがありそうなので、データ解析パートナーが必要になります。