中国の自動運転スタートアップのAutoXは、最近、第5世代の完全無人運転システムAutoXGen5を発表したことを中国のメディアが報じている。そしてNVIDIAは、同社の最新のチップであるNVIDIA DRIVEがAutoXGen5に搭載されたことを発表した。

第五世代完全無人運転システム

今回、記者会見で明らかにされたAutoXの第五世代は、世界トップクラスのハードウェアと電気・電子アーキテクチャであるとされる。

  • 28個の8MP自動車グレードカメラを搭載、合計でフレームあたり220MP以上を処理
  • 角度分解能0.9°の世界最高解像度の4Dミリ波レーダー(Arbe製)
  • 高解像度LiDAR、1,500万pts/sのイメージング

ちなみに、AutoXは以前レーダーにスタートアップのArbeの4Dイメージングレーダーを選択したことを発表しており、5年間で40万台ものロボタクシーに搭載することを明らかにしている。今回のAutoXの発表内容を見ると、その後も問題無くArbe製のレーダーを搭載予定であるようだ。

参考:AutoXがロボタクシー向けにArbeの4Dイメージングレーダーを選択

また、LiDARでは具体的なサプライヤは不明であるが、今年4月に開催された上海モーターショーではRobosenseとの戦略的提携を発表しており、AutoXの自動運転プラットフォーム向けに開発を行っている。ただし、今回発表された1,500万pts/sという点群密度は超高精細なスペックであり、どういうものかやや不透明ではあるが、NVIDIAのブログによるとLiDARは6つ搭載されているようで、その6つのLiDARの合計の点群密度であるようだ。

参考:【上海モーターショー2021】RoboSenseが自動運転のAutoXと戦略的提携を発表

チップにはNVIDIA DRIVEを採用

今回のAutoXGen5ではNVIDIA DRIVE自動車グレードGPUを使用して、最大2,000TOPS(兆回/秒)級のAIコンピューティングパフォーマンスを実現するという。

なお、今回のAutoXGen5の中心で膨大なセンサーデータを処理するのは、2つのNVIDIA AmpereアーキテクチャGPUとなっており、それぞれ900TOPSとなっている。AutoXGen5は、より高度なアップグレードのためのコンピューティングの余地を保有しながら、複雑な自動運転ディープニューラルネットワークを処理する。

この機能により、完全無人の自動運転車両は数十台のオートバイやスクーターが同時に動くような交通量の多い状況にリアルタイムで対応し、継続的に改善して、新しいシナリオを管理する方法を学習することができる。

(補足)ただし、この1基あたり1,000TOPS相当の処理能力を実現するというNVIDIA DRIVE Atlanについては本当にこのスペックを達成できるのか、まだ生産も始まっていないことから、生産が始まるまで信ぴょう性は無いと見る専門家もいる3)

 

今回参考のリリースはこちら


ー 技術アナリストの目 -
今回、AutoXは中国メディア向けの記者会見しか行っていないようで(筆者調査時点では)、Gen5については中国メディアのソースしか見つかりませんでした。いよいよ切り開く中国ロボタクシー市場に完全に照準を合わせているものと思われます。ハードウェアはセンサーもGPUも超高スペックを揃えてきており、今回搭載するとアナウンスのあったNVIDIA DRIVE Atlan™が2024年頃の生産を目標にしていることから、やや中期的な自動運転システムという位置づけに見えます。

参考文献:

1) AutoX发布第五代全无人驾驶系统以及中文品牌名称:安途, Autonode

2) AutoX Unveils Full Self-Driving System Powered by NVIDIA DRIVE, NVIDIA Blog

3) NVIDIA「DRIVE Atlan」、1000TOPSの信ぴょう性, EE Times