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高齢者の地域コミュニティとしての自動運転輸送サービスを狙う米国ベンチャーVoyage

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人口高齢化は日本だけの問題ではなく、先進国全体で直面している課題となっている。日本においても、特に地方の高齢者の移動手段に対して新しいサービスとしてのMaaSの可能性が検討されているが、Voyageは米国でそれを実現しようとしている。

自動運転輸送サービスを開発するVoyage

Voyageは2017年にシリコンバレーで設立されたベンチャー企業である。退職後の高齢者を対象にした、地域のコミュニティでの移動手段を提供するための自動運転輸送サービスを開発している。

この会社は無人運転技術のコースを提供するオンライン学習サービスであるUdacityから派生したもの。CEOのOliver Cameron氏は創業前にオープンソースの自動運転ソフトウェアのプロジェクトに従事していた。Udacityの会長であり、以前のGoogleの自動運転プロジェクトの創設者であるSebastian Thrun氏も、一時期Voyageの会長となっていた。(現在は異なる模様)

高齢者のコミュニティ輸送にフォーカス

Voyageは自動運転を活用した輸送サービスのアーリーアダプターは高齢者である、と定義した。

これはどういうことかというと、定年後の仕事を退職した高齢者は賑やかな繁華街ではなく、地方や郊外の複雑ではない環境で移動を行う。これは都市部を走行するよりもシンプルで、自動運転の実現がしやすい。

また、高齢者のアクティブな人はできるだけ自分で運転しようとするが、そうではなく自動車の所有コストや運転を避ける高齢者もいる。同社のターゲットはそうした運転することができない、または運転をしたくない高齢者を対象としている。

そうした地域のコミュニティの移動手段としての自動運転サービスなので、同社の自動運転車は最大40km/hの速さで安全なスピードで走るものとなっている。

同社の自動運転システムは、カメラと深度センサを搭載し、数百万のデータでトレーニングされたディープラーニングを利用したコンピュータービジョンシステムとなっている。

フィアットクライスラーとも提携

Voyageは2020年5月にフィアットクライスラーとの提携を発表している。

CEOのオリバーは自身のブログでこう述べている。「自動運転車を作るには、ソフトウェアとハードウェアの深いつながりが必要であり、両方を同時に検討する必要があります。このパートナーシップは、Voyageの自動運転技術と、車両の製造に関するFCAの深い専門知識を結び付けて、真に無人の輸送サービスを開始します。」

同社は元々、クライスラーパシフィカハイブリッドのプラットフォームを使って自動運転システムの開発をしていた。今回の提携は、それを会社対会社でより深い関係とすることで、クライスラーのプラットフォームに自動運転システムを組み込むことを狙う。

カリフォルニアの道路での走行も承認

同社は2020年4月にカリフォルニアでの公道で乗客を乗せる許可を獲得した。現在はG3という同社の最新型の自動運転車両のβ版が、シリコンバレーサンノゼの道路で走行テストを行っている。同社によると、2021年にこのG3を生産開始する予定であるという。


2021年3月16日にGM Cruiseによって買収が発表された件はこちら

参考:GM傘下の自動運転のCruiseが高齢者向け輸送サービスのVoyageを買収



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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