自動運転配達ロボのStarshipが17m$を調達し、100万回の自律走行配達を達成したと発表
このラストワンマイルの領域での自律走行配達は、近年、自動運転技術のアプリケーションとして注目されている。昨年のCES2020でもValeoが中国企業と提携して自律走行フードデリバリー車両のデモンストレーションを行ったことは記憶に新しい。
その近距離デリバリー領域で、着実に実績を積んでいるのが米国のベンチャー企業Starshipだ。今回、Starshipは2021年1月27日に、17m$の資金を調達したことを同社のブログで伝えている。
自動運転近距離デリバリーのStarshipとは
2014年に米国サンフランシスコで創業したスタートアップ企業である。2016年にダイムラーが所有するメルセデスベンツVansと提携。特別に改造したVansと自律配送ロボットを統合し、近距離での配送効率を高める世界初の輸送システム「Robovan」の開発とテストを開始している。
2017年1月にはシードステージで17.2m$を調達。このタイミングでダイムラーも出資を行っている。今回新たに調達した17m$も加えると、これまでの資金調達総額は99.2m$となる(Crunchbaseより)。
100万回に到達したラストワンマイルの配達
同社が開発している自律走行ロボットは、半径4マイル(6 km)以内でアイテムを運ぶことができるもの。ユーザーがモバイルアプリを介して配達をオーダーし、小包、食料品、食品などの店舗からロボットを通して自律的に直接配達される。アプリを通して、ロボットの全行程と場所をスマートフォンで監視することもできる。
6輪の車輪を持ち、カメラ、センサー、制御システム、通信機器などを内蔵しており、上蓋を開けると中に食品などを入れることができるようになっている。自律制御は主にはカメラによる画像認識と、GISベースでの3Dマッピングによってデータを取得し、学習されたニューラルネットワークを使ってデータを処理している。同社は、この自律走行ロボットを安価なものにするために、LiDARなどの高価なセンサーは使っていないという。
現時点では主には大学内での配送に焦点をあてて、ユーザーを増やしているようだ。これはキャンパス内は比較的環境変化要因が少なく、自律走行しやすいためであろう。
上記は100万回の配達を達成するまでの動画であるが、実際に街中や大学のキャンパス内を走行している様子が見て取れ、非常にインパクトがある。世界には同社のロボットが運用されているエリアが約15〜20か所あり、ロボットが毎分配達を行っているという。
下記にあるように、同社が公開している情報によると、累積の配達回数は飛躍的に増加している。2017年にはわずか5,000回であり、昨年2020年6月には50万回の配達回数は、2021年1月までの約半年で倍増し、100万回に到達した。
達成時期 | 累積配達回数 |
2017年9月 | 5,000回 |
2019年4月 | 50,000回 |
2019年8月 | 100,000回 |
2020年6月 | 500,000回 |
2021年1月 | 1,000,000回 |
また合わせて、同社は今回、米国のUCLAとブリッジウォーター州立大学(マサチューセッツ州)の2つの新しいキャンパスにサービスを追加したことも発表している。これらの大学において、Blaze Pizza、Bruin Buzz、Lu Valle、SouthernLightsなどのレストランや、スターバックスカフェやベアーズデンなどのキャンパスレストランからの配達を提供しているという。
COVID-19のパンデミックがラストワンマイルの追い風に
同社によると、パンデミックが始まって以来、近隣地域の需要は5倍に増加しているということだ。非接触での食品・食料品などの受け渡しの需要は高く、こうした背景も追い風になっている。
同社のロボットの稼働場所は、米国のみならず、英国、デンマーク、ドイツ、エストニアと欧州でもすでに稼働している。これらの地域で数百台のロボットが年365日稼働できる状態であるという。
(今回の資金調達情報に関するリリースはこちら)
参考記事:ローカル自律配送車両のNuroが500m$の資金調達を実施
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