WithingsのScanWatchがECGとSpO2でFDA認可を得たことを発表
ウェアラブル大手企業であり、元Nokia HealthのWithingsは、同社が2020年に発表したScanWatchがECG(心電)とSpO2でFDA認可を得たことを10月12日に発表した。
1年以上待ったFDA認可
Withingsの最新のスマートウォッチであるScanWatchは、ハイグレードのウェアラブルデバイスだ。2021年11月初旬にwithings.com、Amazon、BestBuyストアから米国で入手できるようになる。価格は279ドルと299ドルのタイプのものがある。(なお、先行して欧州では発売済み)
よくあるフィットネス向けのウェアラブルデバイスと同様に、歩数、カロリー、標高、ワークアウトルートなどのパラメーターを追跡でき、ウォーキング、ランニング、水泳、サイクリングなど、30を超える毎日のアクティビティを自動的に認識することができる。さらに、運動中に酸素をエネルギーに変換する心臓と筋肉の能力を測定するVO2Maxと呼ばれる指標の推定を通じて、フィットネスレベルの評価も行う。
そしてこのScanWatchの大きな特徴は医療グレードのウェアラブルデバイスであることだ。
製品の発表自体は2020年のCESで発表され、当初は2020年の第二四半期あたりまでにECG・SpO2でCEマークとFDA認可を取得するとしていたが、医療機器としての認可取得は遅れ、CEマークは2020年9月に、そしてさらに1年遅れてようやくFDA認可を取得することとなった。
ECG(心電)のセンサを通して、不整脈の1種であるAFibを検知することができる。
このECGのモニタリングはあくまでオンデマンド(必要な時に都度測定をする)のものであり、他のウェアラブルデバイスと同様に指を電極に当てて測定するものとなっている。この点は他のApple WatchやFitbit Senseと同様の機能であるが、一方で、Scan Watchは、デバイスに埋め込まれたPPGセンサにより常時モニタリングされる心拍数の状況から、動悸を感じていなくても潜在的な心臓イベントが発生している可能性がある場合には、ユーザーに警告を出すことができるという。
そしてこのデバイスは、SpO2(血中酸素飽和度)を監視し、COPDやCOVIDなどの呼吸器疾患の問題が発生しているかどうかを検出できる。加速度計と光学センサーを介して収集された血中酸素濃度、心拍数、動き、呼吸数を分析する独自のアルゴリズムを使用し、夜間の呼吸障害(睡眠時無呼吸の兆候)の存在を検出することもできる。
とりわけ、SpO2のFDA認可は大きな意味を持つ。
先行して血中酸素飽和度のモニタリング機能について発表したApple WatchとFitbitのデバイスはFDAの認可を得ていない。つまり医療グレードではなく、あくまでウェルネス領域であると言う位置づけとなっている。
Apple Watchでは「血中酸素ウェルネス」という独自の表現を使い、あくまで情報提供をしているだけ、というスタンスで機能を実装しており、Fitbitは「推定酸素変動量」と言う具体的な数字が出ないグラフという形で機能を実装している。表示された情報から何かを読み取り、判断することはあくまでユーザー側の責任であり、何かを診断することはできない。
WithingsのCEOであるMathieu Letombe氏はこう述べている。
「ScanWatchは2020年に最初にアナウンスした時、3つのCESイノベーションアワードを受賞しました。我々は堅牢なFDAの詳細審査を経て、米国にこのデバイスをもたらすことができることに興奮しています。」
欧州の病院でも活用に向けた研究を開始
ScanWatchは2つの臨床研究で検証されており、研究結果をもとに、ドイツの病院ではCOVID患者を遠隔監視する研究でも使用されている。
例えばドイツミュンヘンにあるルートヴィッヒ・マクシミリアン大学( Ludwig-Maximilians - University of Munich)では、ScanWatchを活用し、外来患者へのリモートモニタリングにより、不必要な入院と計画外の救急医療の接触を大幅に減らすことができるのではないか、という仮説のもと、臨床試験を行っている。この研究は2020年9月から開始し、2021年の12月に完了する予定だ。
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