CO2を有価物に変換するTwelveがシリーズCの投資ラウンドを含む約972億円の資金調達。SAF工場に活用
二酸化炭素(CO2)を必需品に変換する炭素変換企業であるTwelveは2024年9月、$645m(971億8000万円)の資金調達を発表した。
近年、カーボンニュートラルへの対応からCO2回収や回収したCO2を何らかの形で活用するスタートアップに期待が高まっており、今回の巨額の投資につながったと見られる。
CO2を必需品に変換する炭素変換企業
Twelveは、CO2排出をゼロにし、化石燃料に依存しない持続可能な未来を創造することをミッションとしている。
Opusという炭素変換プラットフォームを開発し、光合成のように直接空気回収(DAC)で捕獲したCO2から再生可能エネルギーを活用して、化学物質、材料、燃料(持続可能な航空燃料。SAF)を生成する。
Twelveの技術の中心には、「光沢のある黒い葉」と呼ばれる膜電極アセンブリ(MEA)がある。MEAは、CO2削減に特化した触媒を使用しており、高効率でCO2と水を電気分解し、酸素、合成ガス(シンガス。COとH2の混合物)、そして水を生成する。
このプロセスにより、従来は化石燃料に依存していた製品を、CO2を原料として製造することが可能となった。
後述するように今回の投資にはAlaska Airlinesなどを統括する持株会社が応じているが、TwelveとAlaska Airlinesの間ではSAFの利用や供給に関するパートナーシップが結ばれている。
航空関連の持株会社IAGが出資へ
今回の資金調達は、気候変動対策に特化した投資ファンドが主導するプロジェクトエクイティ$400m(598億円)、$200m(299億円)のシリーズCファイナンスおよび$45m(67億300万円)のクレジットファシリティの組み合わせとなった。
プロジェクトファイナンスは、Alaska AirlinesやBritish Airwaysの持株会社であるInternational Airlines Group(IAG)が対応。その他、気候変動に特化した投資ファンドの資金が注入された。また、三井住友銀行が$20m(30億円)の融資をしている。
この資金は、まずワシントン州モーゼスレイクにあるTwelve初のSAF工場「AirPlant One」の建設に充てられる予定だ。
AirPlant Oneは、Twelveの特許取得済み技術を用い、生物起源のCO2、水、再生可能エネルギーから航空燃料であるE-Jet燃料を製造する国内初の施設である。従来の化石燃料と比べ、ライフサイクル排出量で最大90%を削減する見込み。ライフサイクル排出量とは、製品やサービスを使う時点だけでなく生産からの全過程におけるCO2などの総排出量を指す。
TwelveのNicholas Flanders CEOは次のようにコメントした。
「当社の資金調達戦略では、包括的な資本構成をつくりあげ、規模を拡大しながらコストを継続的に削減することを目指している。気候変動に大規模な対処をする初の技術を展開するという当社の取り組みを共有する、先見性のある資金調達パートナーと協力できることを誇りに思う」
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