CESの興奮も冷めやらぬ前に、日本に無事に帰国した。

前回CES前半の続報として、中盤の様子も記事としてアップしておく。なお、今回の記事も雑記形式であるので、あまり畏まった記事ではない点はご留意頂きたい。

各会場を繋ぐLoop

1つの名物となっているLoop。2021年から開通した、車1台が通れるほどの小さな地下のトンネルを、車が行き来して人を輸送する仕組みである。

イーロンマスクによって設立され有名となったThe Boring Companyが整備している。なお、都市間輸送のハイパーループ構想はこの企業が手掛けている。

WeRideの自動運転シャトルの乗車

今年はWeRideのブースで自動運転シャトルの案内がされていたため、会場の外のブースへ行き、自動運転シャトルに試乗した。なお、案内はパンフレットの片隅に記載されていただけであり、かなり控えめに行われているようにも感じた。

ラスベガスの街中を周回する自動運転シャトル

ルートはLVCCの周りを一周するルートであり、会場外の公道を走っている。運転手は乗っているが、運転中ハンドルに触ることは一度もなかった。

ロボタクシーや自動運転シャトルに乗ったことが無い方は、ぜひ来年も試乗があるだろうから、試乗をお勧めする。一度乗ると世界観は変わる。感覚的には遊園地のアトラクションが公道に出たようなイメージ。運転は、停車の仕方がややラフに感じるが、それでも正直、ラスベガスのUberやタクシードライバーより断然安全で丁寧に感じる。

途中、いきなり道路に飛び出してきた歩行者にも遭遇。全く何も問題なく車両は停止していた。

WeRideの担当者曰く、すでに中国では一部エリアで人々の足として自動運転シャトルは完全に定着しており、毎日有料で乗車する人が溢れているとのこと。先にリスクを取ってここまで社会実装を進めてきた中国企業には尊敬の念を感じる。

Pacckarの水素トラック

パッカーのFCEVトラックも展示されていた。

担当者に話を聞いたところ、トラックでは、長距離移動が必要な用途があるが、現状のEVトラックでは航続距離が足りないことから、長距離はFCEVトラックになり、短中距離はバッテリーEVトラック、という形で使い分けることを想定しているとのこと。

今年、Hyundaiもそのプレスカンファレンスの多くを水素の説明にあてており、水素の社会実装に向けて各社準備を進めていることが伺える。

LiDARは中国勢の低価格攻勢が目立つ

Tanwayの最新LiDAR

LiDARは昨年に引き続き数多くの企業が出展。昨年まではおおよそ1,000$が1つのターゲット価格だったのに対し、今年は特に一部の中国勢からは、SPADを使ったソリッドステートLiDARで500$未満をターゲットとする声も聞かれた。ただし無条件に500$未満で出せるのではなく、ある程度の生産ボリュームが必要だという前提である。

また、FMCW LiDARのAevaはついにダイムラートラックでの大規模採用を発表。対候性や長距離性能を活かす用途として、1歩目がトラックというのは非常に理にかなっている。なお、シリコンフォトニクスで1チップと言っているが、実際には1チップ化できているのはPDとLDであり、ASICとスキャニング及びその他光学系は以前としてチップ化できているわけではない。

他の企業でもFMCW × OPAのLiDARの展示なども見られ、中々見ごたえのある出展であった。

4DイメージングレーダーのArbe

Arbeも昨年に引き続き訪問。詳細はこの記事では書かないが、将来の4Dイメージングレーダーによる角度分解能の見通しや、LiDARを代替する可能性についてブースで議論。

Healm.aiの教師無し学習での自動運転システム

昨年よりもブースが拡大し、今年は多くのプレゼンテーションを行いにぎわっていたHealm.aiである。ホンダが出資をしたことで注目されるようになった注目企業の1社だ。

Healm.aiは基本的にマップレスの教師無し学習という非常にスケーラビリティの高いアプローチを行っている。かなり完成度は高いように見えるが、こうした技術はエッジケースの学習をどうするか、実際に使おうとした時のローカルルールをどう覚えさせるのかという点が課題になる。この点についてもブースで議論をしたが、ここでは詳細は記載はしない。

なお、今年は他にもマップレスのアプローチのベンチャー企業がいくつか見られた。自動運転の社会実装に向けては、こうしたスケーラブルなアプローチの技術進展はやはり注目したいところである。

AUOのピラーtoピラーディスプレイの様子

AUOはメディア限定でクローズドなブース内でデモンストレーションを行っていた。

見ていただくとわかる通り、ピラーtoピラーのディスプレイである。非常に洗練されたデザインで、フロントガラスやサイドのガラスは全て様々な情報提示ができるようになっており、没入型の体験となっている。また、目立たないように設置されたカメラではドライバーモニタリングの機能も搭載されており、常時ドライバーの居眠り状態などを監視する。

なお、タッチパネルはまだハプティクス技術が取り入れられているわけではないが、今後確実に静電容量+ピエゾのような形で、ハプティクス技術が搭載されてくるだろう。

Doosan Bobcatの完全電動ミニショベル

Doosanは今年は水素に関するプレゼンも多かったが、この完全電動ミニショベルにも注目したい。

現在、建設機械では駆動源をディーゼルエンジンからバッテリーに置き換えた電動建設機械が登場している。しかし、このシステムでは通常油圧システムが依然として存在している。

Doosanはこの油圧システムも全て電動化した技術を展示。顧客から要求されて開発を行ったということである。脱炭素の流れで、建設機械の電動化も加速していることが伺える。

Xpengの空飛ぶ車

Xpengの空飛ぶ車の展示である。今年はeVTOLについても複数件展示が行われており、またHyundaiも2028年までにeVTOLを商用展開することが発表された。

上記の画像で展示された機体は次世代の機体であり、まだローンチ時期は明確にできないようだ。

Xpengの驚くべきポイントは、すでに報じられている通り、来年ローンチされる機体がおおよそ2,000万円台で購入可能であること。なお、ターゲットとしている販売台数は100台、とかではなく、数千台を想定しているという。

すでに中国ではEHangが観光や物資輸送などをユースケースに展開し始めているが、Xpengはあくまで移動の手段として大規模に展開したいという意図が感じられる。