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時計+パッチの組み合わせでのカフレス血圧モニタリングがFDA認可を取得

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2019年8月26日、患者向けの高度センシングおよびリモートモニタリングソリューションを開発している、イスラエルのベンチャー企業Biobeatが、米国食品医薬品局(FDA)から510Kの認可を得たことを発表した。

スマートウォッチとパッチを組み合わせたセンシングソリューションであるが、血圧、酸素化、心拍数のモニタリングを行い、スマートフォンまたは専用ゲートウェイを介したクラウドベースのヘルスケアを可能にするもの。

ウェアラブルでついにFDAクリアの血圧測定が登場 BioBeat社とは?

2016年にイスラエルで設立されたベンチャー企業。スマートウォッチ型の医療グレードのデバイスの開発を行っている。LEDが8個付いており、手首へ光をあて、血流のために生じる反射光の変化をフォトダイオードで受光し、解析して生体データを把握するPPG(光電容積脈波測定法)という手法を使っている。

創業後、欧州でCEマークを取得し、まずはストレスモニタリングの文脈で市場展開をしていた。継続して研究開発を重ね、医療分野に進出。ついにFDAの認可を得て、米国での販売が可能となる。

技術の特徴は医療グレードで多様なパラメータを測定可能なこと

BioBeat社の技術は、医療グレードで多様なパラメーターを測定できることが特徴となっている。具体的な以下のような13種類の生体データの取得が可能。

  • 血圧 ★FDAクリア
  • 呼吸
  • 血中酸素飽和度 ★FDAクリア
  • 脈拍数 ★FDAクリア
  • HRV(心拍変動)
  • 拍動当りの拍出
  • 心拍出量
  • 脈圧
  • 全身血管抵抗
  • 1リードECG(パッチのみ)
  • 平均動脈圧
  • 発汗レベル
  • 皮膚温度

PPG自体はすでに従来より様々な企業や研究者が取り組んでいる手法であるが、同社の技術は、波長の異なるLEDを8つ組み合わせ、それを数学的手法により解析し、生体データを特定するもの。(現在市場によく出回っているフィットネスのウェアラブルデバイスはおおよそLEDが2~3個搭載されたものであることが多い)

今後の展開は?

同社はユースケースを病院での遠隔モニタリングや高齢者向け住宅施設、コネクテッドホーム(IoT住宅)での疾患対象者や高齢者のモニタリングなど、様々な可能性があるとしている。

また、他にも様々な研究開発を進めており、同社CEOへのインタビュ―記事(https://www.ns-healthcare.com/analysis/biobeats-ceo-david-plans-mental-health/)によると、メンタルヘルスの領域にも進出可能性があるという。

同社のスタンスとしては、デバイスメーカーというよりは、こうしたデバイスを通して蓄積したデータを解析して付加価値をつけようとしているように見える。将来的にはメンタルヘルスや病気などの予防・予測といった領域に進出していくことが想定される。



  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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