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「酵素×AI」でプラスチックリサイクル技術を開発する英Epoch BiodesignがシリーズAで27億円調達。施設建設に資金を活用

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プラスチックのケミカルリサイクル技術を開発する英Epoch Biodesignは2025年3月5日、シリーズA資金調達ラウンドで$18.3m(約27億円)の確保を発表した。

Epoch Biodesignは2017年、英ロンドンで設立。共同創業者兼CEOのJacob Nathan氏は米シカゴ大学を中退して同社を設立した後、2024年、「Forbes 30 Under 30(『Forbes』が選ぶ30歳未満の著名人30)」に選出された。

既存のケミカルリサイクルとEpoch Biodesignの違い

米Donald Trump大統領がプラスチック製ストローを紙製ストローに戻す指示を出したように、プラスチックの利用にはさまざまな意見が存在。また、大企業からスタートアップに至るまで、プラスチックのケミカルリサイクル実現へ向け、開発競争も起こっている。ATXでも、過去にCarbiosなどの事例を取り上げてきた。

参考記事:フランス発の酵素によるPETリサイクルのイノベーター「Carbios」

こうした中でEpoch Biodesignは、プラスチックを「現代の生活を可能にする鍵」と一定の評価をしつつ、利用には「大きな代償が伴う」と負の側面を取り上げる。現在のプラスチック生産量は年間4億5000万トンであり、商業用プラスチックが発売された1907年の2万2500倍まで膨らんでいると指摘する。

そしてEpoch Biodesignがプラスチックのケミカルリサイクルで活用するのは、酵素だ。プラスチックを酵素で分解し、再利用可能な状態にする。よって、Epoch Biodesignは自らのリサイクル技術をケミカルリサイクルではなく、「バイオリサイクル」と表現する。

もっとも、ここまでは前出のCarbiosとあまり変わらない。

しかし、Epoch Biodesignの技術が既存のものと異なる点の一つは、混合プラスチックのリサイクル技術を開発していることだ。例えば、Carbiosはペットボトルのリサイクルに主眼を置くが、Epoch Biodesignはポリエステルの他、ナイロンのリサイクル技術を開発。つまり、ペットボトルなど容器にとどまらず、衣類のリサイクルも可能になる。

そしてもう一つ、酵素の設計にAIを活用している点も特徴的だ。Epoch Biodesignは数十億年分の酵素の進化を、AIによって数週間で可能にした、と訴求する。

Epoch Biodesignは2022年6月にシードラウンドで$11m(約15億円。当時レート)を調達。前述したNathan氏の30 Under 30選出も、このようなまとまった金額の調達を実現している点が、理由の一つとなっている。

CEOは「リサイクル品はバージン材より安くなる」と見通し語る

シリーズAには、多数のベンチャーキャピタル(VC)が参加。資金は、リサイクル施設の建設が主な使途となる。

Epoch Biodesignは今回の調達を、LinkedInでのみ発表した。そこには、経営陣のコメントは掲載されていないものの、Nathan氏はTechCrunchでの本件の報道に、「リサイクルのコスト基盤を新たな領域にシフトさせることで、基本的にリサイクルはバージンよりも安価な選択肢になる」「われわれは、実際に役立つ素材をつくりたい」などといったコメントを残している。




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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