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ロボットアシストスーツのSarcos Roboticsが2020 Innovation by デザインアワードのファイナリストに選出

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 2020年9月30日、ロボットアシストスーツを開発・製造・販売する米国企業Sarcos Roboticsが、Fast Company社が主催する2020Innovation by Design Awardsでファイナリストに選出されたことを発表した。

 Sarcos Roboticsが開発したGuardian XO フルボディ産業用Exoskeletonというウェアラブルのアシストスーツが評価の対象となっている。

Guardian XO フルボディ産業用Exoskeletonとは

 Sarcos Roboticsは創業1983年の米国ロボットシステム専業企業である。防衛産業向けにのロボットソリューションを展開してきた同社は、現在複数のロボットアシストスーツを展開している。主に産業用や軍事用に特化していることが特徴だ。

 20年以上開発されているGuardianXO フルボディ産業用Exoskeletonは、長時間の作業において最大200ポンド(約90kg)まで安全に持ち上げることができ、航空、製造、倉庫保管、ロジスティクス、石油・ガス、建設、防衛などの産業用途に幅広く展開できる。このGuardian XO Exoskeletonは2021年内の発売の予定だ。

https://www.youtube.com/watch?v=PZcHlz_obyw
同社公開のYoutubeへの直リンク
重いタイヤも難なく持ち上げている様子がわかる

 この世界初の全身型パワード外骨格スーツであるGuardian XO Exoskeletonは、同社によると設計と開発に20年以上かかり、念願の商品化の準備が整ったという。

CES2020でデルタ航空と共同プロジェクトを発表している

 2020年1月に行われたCES2020では、同社はこのGuardian XO Exoskeletonを活用したプロジェクトをデルタ航空と共同で発表している。これはデルタ航空が、自社の作業者に対してこの全身型パワードスーツを導入し、物倉庫での貨物取扱いやメンテナンス部での部材移動、または重機や部品の持上げなどで活用する想定だ。

 まずはパイロットプロジェクトの位置づけとなっており、実証がうまくかどうか検証するということであった。

 このように、すでに一部の企業とはこのロボットアシストスーツを使ったパイロットプロジェクトが展開されている状態である。


ー 技術アナリストの目 -
ロボットアシストスーツは日本でも市場化が始まっており、矢野経済研究所によると国内で10数億円の市場となっている。日本では低価格で軽量なところから市場化が始まっているが、Sarcosが狙うのは産業用・防衛用の単価が高い領域となっている。まだ本格的に市場ができる前の段階であるため、今後の実証プロジェクトの結果を待ちたい。

  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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