Robert Bosch Venture Capitalがイスラエルの建設AIデジタルツインのSiteAwareへ出資
2020年10月8日、Robert Bosch Venture CapitalとAxon Venturesが共同で主導し、イスラエルの人工知能(AI)建設デジタルツインソフトウェアのベンチャー企業SiteAwareへシリーズAラウンドを完了したと発表があった。投資額は10m$という。
米国全土にオフィスと顧客を抱えるSiteAwareは、調達した資金を活用して米国市場での拡大を加速する。
イスラエルの建設AIベンチャー SiteAware Systems Ltd.とは?
同社はイスラエルのテルアビブに2015年設立。元々設立当初は、新しい光学技術とコンピュータービジョン技術を活用し、最先端のデジタルツインプラットフォームを構築することから始まった。その後、様々な検証を経て建設分野にターゲットを絞りアプリケーションを開発し、2018年に初期製品をローンチ。その後、今回の資金調達に至った。今回の資金調達により調達総額は11.5m$となる。
同社は現在米国へ進出し、テキサス州ヒューストンにオフィスを構え、米国全体へ拡大しようとしている。すでに米国大手不動産開発業者や建設会社は、SiteAwareのSaaSプラットフォームを日常的に使用しており、同社は最初の製品を導入して以来、収益を生み出しているようだ。
建設AIによるデジタルツインとはどういうものか?
同社のソリューションは、デジタルツインを使って建設現場における検証を行うものである。
ここで、簡単にデジタルツインについて説明しておこう。
デジタルツインとは、物理空間をセンシングやキャプチャなどして、その特徴量や形状・動きなどをデジタルデータに置き換え、物理空間と同じ動きをデジタル空間で実現し、シミュレーションするものである。例えば設計や製造工程において、デジタル空間でシミュレーションを行い、設計にフィードバックしたり、製造ラインの最適化をシミュレーションしてみることで、物理空間で実際に試さずに最適化を行うことができる。IoT・5Gの普及に伴い、今後非常に重要になる技術と期待されている。
同社のソリューションは、この技術を建設現場に適用している。建設現場における地上カメラとドローンに取り付けられたカメラによるキャプチャ画像と、CAD・BIMファイルをインプットデータとして、デジタルツインにより元々の設計に対して、実際の現場で問題なく建設されているか、AIで比較分析を行う。そして、その結果やリスク要因についてアウトプットするものである。
ユーザーは都度デジタルツインによって建設工程が問題なく進んでいるかがチェックできるため、結果として建設工程の欠落や、やり直しといったことを省くことができるようになり、全体の建設施工コストが最適化する。
同社のプレスリリースによると、米国の建設市場1.3兆ドルにおいて、建設ミスを無くしそのリスクを低減することで、10%~30%程度のインパクトを与えることができるという。
なお、日本においてもこうした技術はすでに使われ始めている。2020年5月に鹿島建設がオービック御堂筋ビル新築工事(大阪市中央区)においてデジタルツインの技術を導入していることを明らかにした。
参考)鹿島建設のプレスリリース
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