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スマートウォッチ×マイクロニードルでグルコースを測るフランスのPKvitality

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血糖値のモニタリングはデジタルヘルスケア領域で大変注目されている市場である。従来からある方法は指先からの血液を採取し、分析することで血糖値を測定しているが、マイクロニードルに代表される痛みを伴わないCGM(Continuous Glucose Monitoring:連続グルコースモニタリング)でグルコースモニタリングを行う方式が、何年も前に登場した。この市場を牽引するのはAbbott社のFree Style Libreや、Dexcomのパッチ型センサであり、現在急成長中の市場である。

こうした急成長する市場に対して、スマートウォッチ型のセンサデバイスでアプローチする企業がPKvitalityである。今回は同社について紹介する。

スマートウォッチ×マイクロニードルでCGMを行う

PKvitalityは2016年にフランスで設立されたベンチャー企業。同社は家電デバイスの設計と生物化学的アプローチの知見を組み合わせて、スマートウォッチにマイクロニードルセンサを組み込んだグルコースモニタリングデバイスを開発している。

まだアーリーステージであり、資金調達総額は€2.3mとなっている。この€2.3mはドイツの大手家電・美容・医療機器メーカーのBeurer GmbHが2020年1月に出資を行い、資本業務提携を締結している。Beurerはドイツ、オーストリア、イタリアで独占的な商品化権を取得した。

同社は2019年にEIT Health Summitというヨーロッパのヘルスケアカンファレンスでのカタパルトコンテストで、MedTechセクションで優勝している。

https://www.youtube.com/watch?v=4KfdsXxkU-E
同社公開のYoutubeへの直リンク

 グルコースモニタリングデバイスK'Watch

そんなK'Watchであるが、スマートウォッチの裏側(皮膚と触れる面)にマイクロニードルパッチが組み込まれている。このマイクロニードルパッチは、時計に収まる程度の数cm角の四角片である。このマイクロニードルパッチは皮膚の下にある間質液にあるグルコースレベルをセンシングする。

https://www.youtube.com/watch?v=OUsAoFoLanM
同社公開のYoutubeへの直リンク

間質液とは細胞と細胞の間に存在する液体のことで、グルコースは血管を通って毛細血管を通して間質液に移動していく。そのため、間質液中のグルコースレベルと、いわゆる血糖値とは厳密には異なるが、ある程度の相関があることがわかっており、現在市場で存在しているCGMの多くがこの間質液中のグルコースレベルを測定するタイプとなっている。

K'Watchのマイクロニードルパッチは7日間連続で使用が可能であり、7日間ごとにパッチ部分を取り換える仕様となっている。5分ごとにアプリ上でデータを更新する仕様となっている。K'Watchではほかに歩数・距離・カロリーや、心拍数、睡眠データも測定が可能という。

このK'Watchであるが、現時点ではまだ医療機器認定がされていないため、ユーザーは利用することができない。同社のWebページによると、実験レベルで20人のユーザーがいるようである。

ダッソーシステムズとサノフィが支援

2020年3月には、ダッソーシステムズの3DEXPERIENCE Labというアクセラレーションプログラムで支援を受けることを発表した。その中で、同社は大手製薬企業のサノフィからも支援を受けていることを明らかにしている。

なお、2019年11月にサノフィのVP Corporate M&AのAlexandre Richard氏がアドバイザーに就任している。現時点でサノフィからの支援はまだ限定的であると考えられるが、同社の技術について強い興味を持っていることがうかがえる。



  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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