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心電センサ・解析を手掛けるAliveCorがシリーズEで65m$の資金を調達

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2020年11月16日、心電センサおよびAIによる心電解析を手掛ける米国ベンチャー企業のAliveCorがシリーズEで65m$の資金調達を行ったことを発表した。これは既存投資家であるオムロン、Khosla Ventures、WP Global Partners、Qualcomm Ventures、Bold Capital Partnersが主導している。

今回の資金調達ラウンドで調達した資金は、米国内および世界中のAliveCorのリモート心臓病学プラットフォームの成長を加速するために使用される。AliveCorのAIを活用したECG解析は、医療機関による症状検知や状態管理・モニタリングだけでなく、遠隔医療(テレヘルスサービス)でも活用される。また、オムロンとのパートナーシップの強化により、オムロンはそのサービスポートフォリオに同社の技術を使った高血圧管理を含めることもできるようになる。

AliveCorの心電(ECG)センシング・解析プラットフォーム

2本の指をパッドに置いて心電を測り、解析する

AliveCorは2010年創業のサンフランシスコに本社を構えるベンチャー企業。

2本の指をセンサパッドに置き、心電を手軽に測定してAIで解析できるKardiaMobileデバイスを開発・販売している。このデバイスは、心房細動、徐脈、頻脈、およびECGの正常な心臓リズムの即時検出を提供する。医療機器グレードの精度であり、FDAの認可も取得済みだ。

同社は2012年頃からFDAの認可を受けて、様々な形でECGの解析を行ってきた。当時はiPhone4・4Sと互換性のあるデバイスとアプリケーションを使ってECGを記録するものを開発している。

その後、2015年頃にはECGの解釈をAIで行うアルゴリズムを開発し、アルゴリズムでFDA認可を取得。そして2019年には、同社によると個人用のECGモニタリングデバイスで世界で初となる徐脈と頻脈※1を検出するためのFDA認可を取得している。

※1 まず不整脈は脈がゆっくり打つ、または速く打つ、不規則に打つ状態のことを言う。その中でも、脈拍が1分間に50以下となることを徐脈と言い、100以上の場合を頻脈という。よくこのECGを使ってApple Watchなどで検出できるようになったのが心房細動と言い、頻脈の1種で、拍動数は1分間に300回以上にもおよぶ。なお、徐脈や頻脈はほぼすべての成人に発生するものであり、心拍数が通常の範囲である毎分50~100拍をわずかに外れるような日常生活のシナリオは数多くある。そのため、徐脈や頻脈が出たからといって何か危険な状態であるわけではない点は注意だ。

近年ウェアラブルデバイスでECGを測定できるようになり、アルゴリズムで心房細動(atrial fibrillationAf)が検出できるようになっているが、AliveCorのように徐脈や頻脈のような分解能では検出ができない。

100万を超えるユーザーに提供し、8,500万件を超えるECGを記録

同社のプレスリリースによると、現在までに、AliveCorの製品は世界中の100万を超える顧客にサービスを提供し、8,500万を超えるECGを記録しているとのこと。同社はこの膨大なデータセットにより、新しいAIベースのサービスを構築して、高度で改善された心臓治療の新時代を推進するという有意義な利点を得ることができる、と述べている。

(同社のプレスリリースはこちら


  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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