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米国国防総省が医療用ウェアラブルでCOVID-19を早期検知するフィリップス・BioIntelliSense・コロラド大学の共同研究に資金助成

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ウェアラブルデバイスを使ってCOVID-19を早期検知する動きが様々な企業・研究機関で起こっている。以前の記事でも、COVID-19を検出するための研究でFitbitが米国陸軍賞を受賞したことを紹介した。

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米国ではほかにもDARPAがSenSARSプロジェクトという空気中のCOVID-19ウイルスをセンシングする技術の研究助成を行うなど、特に国防総省関連の機関で積極的にウイルス検知技術が開発されている。

そのような中、2020年12月22日に世界的なヘルスケア大手のフィリップスが、米国国防総省(DoD)から資金助成を受けることを発表した。これはフィリップスと、医療グレードウェアラブルを開発するBioIntelliSense、コロラド大学の共同研究に資金助成を行うものとなっている。今回はこの内容について紹介したい。

どのような研究スキームか?

これは、陸軍医学研究開発コマンド(USAMRDC)が、COVID-19の早期発見を目的として、FDA認可済みのBioIntelliSense社が開発するBioStickerというデバイスの有効性を検証するために資金助成される。

Medical Technology Enterprise Consortium(MTEC)賞を通じて米国国防総省(DoD)から2.8m$を受け取る予定だ。

フィリップス・BioIntelliSense・コロラド大学の役割分担はこうだ。

フィリップスは45年以上にわたり、国防総省および退役軍人省(VA)と緊密に協力しており、すべてのVA病院またはVISN(退役軍人ケア)の50%以上がフィリップスイメージングソリューションを使用している。

そのため、フィリップスはBioIntelliSenseが開発する医療グレードのウェアラブルデバイスとアルゴリズムを自社ソリューションに統合し、コロラド大学が協力して臨床研究を行う。

臨床研究は、最近にCOVID-19への曝露や初期のCOVID-19症状を経験している人を対象として、2,500人の適格な参加者で構成される。

BioIntelliSenseが開発する医療用ウェアラブルとは?

BioIntelliSenseは2018年に米国で設立されたばかりのベンチャー企業。リモート患者モニタリングを実現するための医療用ウェアラブルBioSticker™を開発している。

同社は2020年1月にはこのウェアラブルデバイスがFDA認可を得たと発表。ウェアラブルデバイスで生体情報を取得するだけでなく、回避可能な合併症の兆候を検知するための分析を行う。

医療グレードで呼吸数、安静時の心拍数、皮膚温度、体位、活動レベル、睡眠状態、高解像度の歩行分析と転倒検知、症候性イベントが検出可能となっている。

左上の胸に目立たないように装着するように設計されており、最大30日間連続で使用可能だという。

https://www.youtube.com/watch?v=7GImSR4X9gw
KOAA 5が公開しているYoutubeへの直リンク
BioSticker™が紹介されている

まずは軍事から、次に一般へ展開

USAMRDCの軍事作戦医学研究プログラムのディレクターであるクリストファースティール司令官は、次のように述べている。

「私たちの目標は、成熟したウェアラブルテクノロジーを活用し、予測アルゴリズムを検証して、明確な医学的症状をまだ示していないCOVID-19陽性の個人を特定することです。これらのツールは医療施設の外で使用できるため、成果物は軍事的準備を直接最大化し、一般の人々に即座に利益をもたらすことができます。」 

今回の資金助成はあくまでまずは軍事向けに活用されることを目的としている。しかし、関係者のコメントにあるように、将来的には一般向けにも展開されることが期待される。



  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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