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中国の自動運転ベンチャーWeRideが矢継ぎ早にシリーズB2・B3ラウンドで110m$を調達

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中国の自動運転ベンチャー企業の勢いが止まらない。

2020年12月に200m$もの資金調達をシリーズBで行った中国のWeRide(文远知行)が、その1か月も経たないうちにシリーズB2・B3で110m$の追加資金調達を行ったことが明らかになった。

今回の資金調達については、2021年1月14日に同社がプレスリリースで発表をしている。Crunchbaseのデータによると、今回の資金調達により、同社の調達した資金の総額は513.6m$にも達するという。

WeRideのシリーズB2, B3で成長を加速

2020年12月に行った資金調達は、中国最大のバスメーカーであるYutong Groupから行われたもので、ミニバスや市内バスなどで自動運転技術の適用を推進するという事業提携も込みの資金調達であった。

今回の資金調達では、CMC Capital、China Development Bank Equipment Fund、Guangdong Hengjian、Huajin Capital、Huacheng Venture Capital、Chuangyin Capitalなどの様々な中国のVCが数多くラウンドに参加し、出資を行っている。

同社は多くを明らかにしていないが、今回の資金調達が完了したという発表と合わせて、シリーズCの資金調達ラウンドをすでに開始したことも発表している。

広州で無人循環ミニバスの運用開始を発表

同社は合わせて、1月15日から無人での循環ミニバスを広州国際バイオアイランドで試験運用開始することも発表した。ローカルエリアであるが、この地域のオフィスや商業施設における人の輸送をカバーするという。

これにより、広州国際バイオアイランドでは、以前から同社が運用するロボタクシーと、今回追加するミニロボバスを試験的ではあるが利用することができるようになる。

WeRideは2019年11月から広州でロボタクシーの運用を開始し、2020年6月、Autonaviのタクシー配車プラットフォームでWenyuan Zhixing Robotaxiサービスを開始。2020年11月の時点でこのロボタクシーサービスは、運用初年度に147,128回の輸送を安全に完了し、60,000人を超えるユーザーにサービスを提供し、積極的な責任事故は発生していないことも発表している。

WeRideの昨年の資金調達の記事はこちら:

[nlink url="https://atx-research.co.jp/2020/12/24/weride-seriesb/"]

自動運転ベンチャーの最新動向がわかるカリフォルニア州の走行距離レポートをまとめているためこちらもご参考。

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ー 技術アナリストの目 -
中国ベンチャーにおけるEVや自動運転の勢いが加速している。WeRideはすでに広州でロボタクシーの試験運用を1年以上実施しており、次の資金調達シリーズCで調達する資金を使って、さらに広州内でエリアを拡大すると見られる。中国の自動運転ベンチャーに集まる資金の金額は非常に大きく、今後、日本で行う実証実験とは規模が異なってくる可能性が高い。特に自動運転レベル4と合わせてロボタクシーや配送サービスなどのMaaSの発展も進むと想定され、2021年は中国がこうしたモビリティ分野の巨大実験場となることが期待される。
  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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