ニュース記事

Samsung NEXTが健康・フィットネスデータの統合APIを開発するTerraへ出資

INDEX目次

ギリシャからやってきたTerraは、健康・フィットネスデータの統合APIを開発しているシードステージのベンチャー企業だ。同社は今回、シードステージの資金調達で、Next Ventures、General Catalyst、Samsung NEXT、そして複数の個人投資家(プロサッカー選手のイルカイ・ギュンドアンやDele Aliを含む)から出資を受けている。調達額は2.8m$(約3億円)になる。

TerraはY Combinatorで最初の支援を受け、今回、アクセラレーションプログラムの卒業とともに、VCから出資を受けることになった。

同社が開発しているのは、開発者向けの健康・フィットネスデータの統合APIだ。

現在のFitbitやGarmin、Apple Watchなど様々なウェアラブルデバイスでは、APIが用意されている。しかし、APIの様式は様々であり、それぞれで設定が必要だ。同社が着目したのはそれら各社のAPIを統合し、開発者のユーザーが同社の統合APIを通して複数のデバイスのデータに簡単にアクセスできるようにすることを狙っている。

ユーザーは、HTTPリクエストを使用して、フィットネスとウェルネスのデータ(毎日のアクティビティ、トレーニング、バイオマーカーなど)に簡単にアクセスすることできる。

創業者のEleftheriou氏は、次のように述べている。「5年以内にウェアラブルがリアルタイムのデータを共有し、予測能力を備え、その結果、膨大な量のフィットネスデータが生成されると考えています。」

Samsung Nextが考えているところでは、例えば金融分野では、Plaidが銀行口座にアクセスし、口座情報を取得し、送金処理を実行するためのサービスをAPIで提供する統合APIで成功している。このようなモデルと同じように、フィットネスアプリの領域で成功できる可能性があると見ている。長期的にはウェアラブルデータやセンサーから、DNAや食物摂取情報まですべてを集約し、保険会社や製薬会社がこの情報を使用して健康の傾向を理解できるようにすることを狙っている。

 

同社HPはこちら


ー 技術アナリストの目 -
お金を便利に扱えるようになることが大きなインパクトを持つ金融分野と違い、フィットネスデータは心拍数や活動量などのそれ自体のデータだけではそれほど意味が無く、ユーザーに価値を与えるにはデータの解釈が必要になります。そのためこの統合APIだけではヘルスケアサービスが成り立たない点がやや難易度が高そうに感じます。しかし、デジタルなヘルスケアデータ・デジタルバイオマーカーがもっと簡単にアクセスできるようになることは必要なので、重要なパーツの1つとしてSamsung Nextが投資を行ったものと考えられます。

  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

CONTACT

お問い合わせ・ご相談はこちら