非接触バイタルセンシングのClair Labsがシードで約10億円を調達
イスラエルの非接触バイタルセンシング技術を開発しているClair Labsは、今月、シードラウンドで9m$(約10億円)の資金調達を実施したことをいくつかのメディアが発表した。
当該ラウンドは10Dがリードし、睡眠領域のVCであるSleepScore Ventures、イスラエルのファンドManiv Mobility、ロンドンを拠点とする技術系ファンドのVasukiが出資を行ったという。
顔の皮膚からバイオマーカーをセンシングする技術
同社は2018年創業のベンチャー企業だ。同社が開発するデバイスは病院のベッド等に取り付けることができ、皮膚に光を照射して、反射する光のスペクトルからバイオマーカーをセンシングする。とりわけ、顔の血管の血流変化は重要となる。
同社によると、この技術は心拍数、呼吸、気流、体温、SpO2などの生理学的マーカーの医療グレードの取得が可能になるように開発を行っているという。
この非接触のバイタルセンシング技術はいわゆるiPPC(イメージングフォトプレチスモグラフィー)の1種だ。光学センサーにより、皮膚表面の血管の色の変化を検出することで、心拍や血圧などを分析する。
非接触であることから、通常のウェアラブルデバイス装着の制約等から解放されるため、アプリケーションが拡がるために期待されている技術だ。例えば家の中での健康管理・モニタリング用途や、ドライバーの状態検知、病院での患者のモニタリング等が期待されている。一方で、現時点でまだ実用化に至らないのは、心拍や脈拍については外部環境が一定の状況であれば精度良く測定できるものの、血圧やSpO2、心電などの付加価値の高いバイタルデータが医療グレードで取れるわけではないことから、あまり実環境で採用が進んでいない。
同社のスタンスは医療グレードでのバイタルセンシングの実現であり、継続的な患者モニタリングにより、感染症の悪化を早期に検出することを狙う。また、ベッドサイドをモニタリングすることで、患者の転倒などの有害事象を減らすことも検討しているようだ。
こちらの報道によると、同社は現在プロトタイプフェーズにあり、テルアビブのスーラスキー医療センター(Sourasky Medical Center)と、アスタ睡眠医薬研究所(the Israel Assuta Sleep Medicine Institute)で臨床試験を実施しているという。また、今年後半、米国の主要な睡眠の研究センターと病院でパイロットテストを開始する予定であるようだ。
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