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Delfi DiagnosticsがMSDのCVCから資金調達、昨年にがん発現の可能性を判定するキットを発売したスタートアップ

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2024年6月4日、Delfi Diagnosticsは製薬大手のMerck & Co.のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)から出資を受けたと発表した。調達額は明らかにされていない。Merck & Co.は、日本を含む各国ではMSDの名称で知られる。

Delfi Diagnosticsは、患者の血流を浮遊する細胞のDNAからがんに関連する情報を検出し、機械学習を活用しながら早期発見や治療中のモニタリングの効率化を低コスト・低負荷で実現する技術を開発している。

LDCTで肺がん検出の可能性を判定するキットがすでに発売

がんの早期発見を目的とした液体生検技術、さらに生検における機械学習の活用には多くの企業が参入しており、Delfi Diagnosticsの競合にはFreenomeやGrailなどが挙げられる。

参考記事:がん早期発見を目指す4つの新たな検査手法
参考記事:バイオユニコーンのFreenomeがシリーズEで254m$調達、これまで確保した総額は1.4b$

Delfi Diagnosticsは、正確で利用しやすくがんの検出に役立つ新しい方法として、「フラグメントゲノミクス(全ゲノム断片化アプローチ)」に注力している。従来のがん遺伝子パネル検査は複数の遺伝子を調べるものだったが、フラグメントゲノミクスではゲノム全体を対象としてセルフリーDNAの断片を調べる。そこから、DNA配列やDNAメチル化といったがん発現に関連する変異を検出。検出に機械学習アルゴリズムを活用する。

2023年10月には、この仕組みを使った肺がん発現の可能性を判定するキット「FirstLook Lung」を発売することで商業化を実現。低線量CTスキャン(LDCT)で肺がんを検出する可能性があるかを判定する。ただし、このキットは米食品医薬品局(FDA)の承認は受けていない。同社は、Clinical Laboratory Improvement AmendmentsClinical Laboratory Improvement Amendments(CLIA。連邦臨床検査改善法)に則った研究室で臨床検査が行われることを訴求している。

FirstLook Lung(Delfi Diagnosticsプレスリリースより)

研究開発促進と生産規模拡張が使途か?

今回、出資したMSDのCVCはMerck Global Health Innovation Fundという名称で、イグジットした投資先には、糖尿病検出プラットフォームを開発したLivongoやバイオインフォマティクスのOpGenがある。

Susan Tousi CEO(Delfi Diagnosticsプレスリリースより)

Delfi DiagnosticsのSusan Tousi CEOは「この投資は当社のフラグメントゲノミクスとAI技術の推進に役立ち、破壊的な価格で高精度にがんを早期発見する上で人口規模における大きな変化をもたらす可能性がある」とコメント。調達した資金の使途はさらなる研究開発、生産規模拡張がうかがえる。



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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