ニュース記事

ヒューマノイド「Apollo」を開発したApptronikがシリーズAで539億円を調達。実用化の実績挙げ資本効率をアピール

INDEX目次

ヒューマノイドを開発する米スタートアップのApptronikは2025年2月13日、シリーズA資金調達ラウンドで$350m(約539億円)を確保し、同ラウンドが完了したことを発表した。

Apptronikが目指すヒューマノイドの形は、「汎用」である。同社は、従来の産業用ロボットの多くが特殊用途であるとしており、限られた作業だけでなくいくつもの作業を行えるヒューマノイドの開発を目指す。

2024年より工場・倉庫で稼働開始

今回の資金調達はシリーズAであるが、Apptronikは2016年設立とそれほど新しい企業ではない。テキサス大学オースティン校ヒューマンセンタードロボティクスラボからスピンアウトする形で、同じくテキサス州オースティンにて誕生した。

母体組織の名称がヒューマンセンタード(人間中心)となっているように、Apptronik も「人間のためのロボット」開発に重点を置く。すでに5フィート8インチ(約173センチメートル)、160ポンド(約73キログラム)のApolloというヒューマノイドを製作。2024年より、Mercedes-Benzの工場や物流企業のGXO Logisticsで利用されている。

GXOの倉庫内で作業するApollo

前述のように、2016年設立ながら今回の調達がシリーズAであり、また以前の累計資金調達額は$28m(約43億円)だった。Apptronikは、こうした必ずしも多額とはいえない資金から実用化されたヒューマノイドやNASAとのロボティクスにおけるパートナーシップの実現といった事例を挙げ、「優れた資本効率を示した」とアピールする。

2024年3月にはNVIDIAともパートナーシップを締結し、Apolloのトレーニングのスピードアップを目指す。

次世代機の開発にも言及

シリーズAは、オースティンのイノベーションハブであるCapital Factoryなどが主導。Googleも参加した。

資金の使途として、Apptronikは以下の3つを挙げた。

  • 次世代ヒューマノイドの開発
     物流、製造、高齢者介護、ヘルスケアなど幅広い分野で活用できるヒューマノイド
  • ヒューマノイド設計と開発の限界を押し上げ
     低価格化、メンテナンスの簡素化などを実現する設計へ
  • 急増する顧客需要に対応
     Apolloの製造を拡大

Apptronikの共同創業者兼CEOであるJeff Cardenas氏は、次のようにコメントした。

「われわれは、人間と共に働けるよう設計した、世界で最も先進的で有能なヒューマノイドロボットを開発している。

最先端のAIと、インタラクション(相互作用)のために設計したハードウェアとを組み合わせることで、ロボットが真のパートナーとなる未来を形づくる。このビジョンを信じ、それを実現することに尽力してくれる投資家の存在を、とても刺激的に感じている」




【世界のヒューマノイドの技術動向調査やコンサルティングに興味がある方】 

世界のヒューマノイドの技術動向調査や、ロングリスト調査、大学研究機関も含めた先進的な技術の研究動向ベンチマーク、市場調査、参入戦略立案などに興味がある方はこちら。

先端技術調査・コンサルティングサービスの詳細はこちら




  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

CONTACT

お問い合わせ・ご相談はこちら