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キノコの菌糸体で代替肉を生産するMeatiがシリーズC-1で約153億円を調達、販路は6000店まで拡大

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キノコの菌糸体から代替肉を培養するスタートアップ、MeatiがシリーズC-1調達ラウンドで$100m(約153億円)を調達した。2024年5月、同社が発表した。

Meatiは自社製品を取り扱う小売店を着実に増やしており、Kroger Family Stores、Super Target、Whole Foods、Meijer、Wegmansといった全米展開するチェーン店でも販売。これらを合わせた店舗数は6000を超える。

食感・生産性・栄養価に優れた菌糸体ベースのプロダクトを開発

Meatiが開発する代替肉は、キノコの菌糸体が原料だ。プロダクトは従来の精肉に近い食感で、24時間あたり4500頭の牛に相当する肉の生産が可能となっている。

商品は、「Classic Cutlet」「Crispy Cutlet」「Classic Steak」「Carne Asada」の4種類。Classic Steak 1枚(120g)当たり、タンパク質が17g、食物繊維が8gとそれぞれ1日の必要量の約1/3が摂取でき、ミネラルも豊富に含むなど栄養価は高い。

Meatiは消費者の反応について、「リピート率は約60%に上る」としており、代替肉が浸透していることを明かす。

2022年のシリーズCで調達した資金は、生産施設「Mega Ranch(Ranchは牧場の意)」の建設に使われ、2023年1月より稼働している。これを超える規模の生産施設建設を報じる動きがあるものの、後に詳述するように今回の資金調達の使途は明かされていない。

資金の使途は不明、経営陣交代・レイオフ実施が示唆するものは

シリーズC-1調達ラウンドは、食品・農業関連のベンチャーキャピタル(VC)であるGrosvenor Food & AgTechが主導した。

Meatiは資金調達の発表と同時に、CEO交代も明らかにしている。前CEO・共同創業者のTyler Huggins氏は顧問に就任し、引き続き同社をサポート。新CEOには前CFOである Phil Graves氏が就任した。

新たに同社の舵取りを任された Phil Graves氏は、次のようにコメントした。

「私たちは急速な成長を続けていく。これまであらゆる逆風の中で、順調に成長してきた。それは投資家にも理解されている。最高のプロダクトがあり、(次なる)成長はすぐそこだ。勢いを保つために、資本と事業を結び付けていく必要がある」

今回の資金調達の使途は明らかにされていないが、経営陣交代が決まった時期にはMeatiのレイオフが行われている。それまでの1割を超える従業員が解雇された。Graves氏のコメントから、資金の使途は経営と事業の立て直しの原資となることが考えられる。



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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