高高度プラットフォームシステム(HAPS)を開発するSceyeがシリーズCの投資ラウンド成功裏に終了。評価額は785億円に
高高度プラットフォームシステム(HAPS)を開発する米スタートアップのSceyeは、シリーズCの資金調達ラウンドを成功裏に終了したことを発表した。この調達より、同社のプレマネー(企業価値)評価額は $525m(785億円)となった。
Sceyeは、成層圏に長時間滞在できる高高度プラットフォームを開発した企業。米国でのHAPS開発は、かつてGoogleが進めていたもののソフトバンクに技術移転した過去がある。今回の資金調達は、米国のHAPS開発に新たな潮流を生み出しそうだ。
参考記事:成層圏からモバイル端末をつなぐ「HAPS」ソフトバンクとドコモの事例を中心に考察
HAPSの実用性を高めるか
SceyeのHAPSは、高度6万〜6万5000フィート(約18〜20キロメートル)の成層圏に滞空。最長で1年程度、飛び続ける設計となっているという。
NTTドコモと提携するAirbus系のAALTOが開発したHAPS「Zephyr」は、2022年に64日間滞空という記録を残した。もし、Sceyeが訴求する通りの飛行を実現すれば、HAPSの実用性がより増すことになりそうだ。
HAPSは、携帯端末に直接ブロードバンド通信を提供し、これまでインターネット接続が困難だった地域にもアクセスを可能にすることで、デジタル格差の解消に大きく寄与するもの。Sceyeは成層圏からの観測技術を活用し、次のような活動も行う。
- 温室効果ガス排出のモニタリング
- 自然災害の予測、発見
- 海洋の監視
高高度プラットフォーム技術を通じて世界中の未接続地域の人々をつなぎ生活の質を向上、さらに気候変動の監視を強化するなどで、Sceyeは持続可能な未来を目指す。
資金は商業化に活用、2025年の飛行が目標
シリーズC資金調達ラウンドでは、サウジアラビアの大手投資会社が主導。資金は、2025年に予定されているHAPS技術の商業化を念頭に活用されるという。
「シリーズCの資金調達は、Sceyeにとって大きな節目である。この資金により、当社のプラットフォーム開発と商業化のロードマップが加速し、2025年のHAPS技術の商業化への道が開かれる」と、SceyeのCEO兼創設者であるMikkel Vestergaard Frandsen氏は述べた。
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