光とディープラーニングによる食品検査技術開発のSpore.BioがシリーズAで35億円を調達。すでに検査の契約を結ぶ企業が複数存在

光スペクトルとディープラーニングによる食品の微生物検査技術を開発するSpore.Bio(正式社名はSpore Biotechnologies)が、シリーズA資金調達ラウンドで€22m(約35億円)を調達した模様だ。2025年2月19日以降、欧米メディアが伝えている。
Spore.Bioは、Nestle出身のAmine Raji CEOらによって2022年、設立したフランスのスタートアップだ。
光スペクトルとディープラーニングの併用
食品企業にとって微生物などが混入していないかの検査は、非常に神経を使う工程だ。もし存在していれば、消費者の健康被害につながるおそれがあり、事業停止や損害賠償のリスクがある。
一方、従来の検査は基本的に工場外の場所で細菌を分裂させて行うため、時間がかかるという課題があった。この点につき、前出のRaji氏はメディアの取材に対し、「バクテリアが成長するのを待たなければならないため、結果を得るのに農業食品分野では5日間にわたる計り知れないほどのテスト、製薬および化粧品分野では14日間のテストが必要になる」と語る。
微生物の検査のイメージ(pixabay)
他にも課題はあり、サンプルの移動時、すなわち生産工程とは無関係の場所で微生物が混入してしまう可能性もある。
これらに対し、Spore.Bioが採る検査方法は次のようなものだ。まず光に対して細菌や病原体がどう反応するか、ディープラーニングによるトレーニングを行う。そして、特定の波長の光をサンプルに照射し、リスクの有無を確認する。
Spore.Bioはパスツール研究所とパートナーシップを締結しており、細菌などのサンプルも同研究所が採集したものだ。
前回の資金調達は2023年12月のプレシードラウンドで、1年と少しで次のステージに進んだことになる。プレシードラウンドでは、€8m(約13億円。当時レート)を調達している。
資金使途は人員の増強
シリーズAには、Peugeot家によるベンチャーキャピタル(VC)である1st Kind Ventures、フランスのインキュベーションハブであるStation F、英国の病院経営者・政治家であるDavid Prior卿などが応じた。
調達した資金は、人材確保に利用。現在、30人の人員を50人まで増強するという。
前述のように、プレシードラウンドからシリーズAに比較的短期間で進めたのは、Spore.Bioの技術の実用性が高いと認められたためだ。最大200の工場で必要とされる検査の契約をすでに数件まとめているという。そのため、次の契約を結ぶための順番待ちリストが作成されている。
今回の調達による人員増強により、こうした状況の解消、さらなる顧客の拡大を目指す。また、先程のRaji氏のコメントにもあったように、化粧品など食品以外の分野への参入も目論んでいるようだ。
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