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家事ロボット開発の米The Bot Companyが223億円を調達。Cruiseの元CEOが創業

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家事を行うロボットの開発を進めるスタートアップ、米The Bot Companyは2025年3月、$150m(約223億円)の資金調達を完了した模様だ。同月21日付でReutersが報じ、他のメディアも追随している。

The Bot Companyはオフィシャルサイトがあるものの、表示されるのはメールアドレス入力フォームと採用情報、自社メールアドレスへのリンクだけ。プロダクトのリリースも、これからとなる。

CEOのKyle Vogt氏のLinkedInを見る限りでは、設立は2024年4月。拠点はカリフォルニア州サンフランシスコに置く。

著名投資家が対応した初回の調達

謎に包まれた印象のあるThe Bot Companyだが、設立してまもない2024年5月にも$150mを調達した。さらに、設立から1年も経たないうちに、2回目となる今回の調達となった。

順調なスタートを切っているのは、前出のVogt氏の存在が大きいといえよう。同氏は、General Motors(GM)傘下に入った自動運転開発のCruiseで、共同創業者兼CEOだった人物である。Cruiseで相次いだ人身事故とそれに伴う社内の混乱の影響によりVogt氏はCEOを辞任したものの、設立から3年でGMに売却した手腕を投資家が評価していると見られる。

Cruise公式動画。ロボタクシーの運営は終了し、現在はGMの自動運転技術開発に注力している

2024年の調達では、エンジェル投資家のDaniel Gross氏、ベンチャーキャピタル(VC)のSpark Capitalでゼネラルパートナーを務めるNabeel Hyatt氏、GitHubでCEOを務めたNat Friedman氏が投資した。

肝心のThe Bot Companyの事業だが、ロボットのコンセプトとしては「日常の家事を自動化」「それにより人間は有意義な時間を確保する」といったことを目指していると、前出のオフィシャルサイトから読み取れる。さらに、Reutersは「非ヒューマノイド」であると報じた。

また、採用情報には獲得に注力する人材として、「メカニズム設計」「モーター/アクチュエーター設計」「AI研究(基礎モデル、モデルスケーリング、強化学習)」「大規模強化学習のシミュレーション」と記されている。

Canva、Databricksをポートフォリオに有するVCが投資

今回の調達に応じたのは、VCのGreenoaks。同社のポートフォリオにあり日本国内でも知られる企業を挙げると、Canva、Databricks、Figmaなどがある。

資金の使途は不明。しかし、昨今の大規模言語モデル(LLM)・AIへの投資熱が高まっている背景から、ロボットと並行してAIも開発スタートアップにも資金が流入している。実際、The Bot Companyと同様の開発を行っているFigureは、企業評価額が$40b(約6兆円)と見積もられている。投資を受けるスタートアップの側には、ロボットのメカニズムと頭脳の両方の能力向上が求められるといえそうだ。

なお、The Bot Companyは今回の調達で評価額が$2b(約3010億円)に達したとされる。

The Bot Company、VCのGreenoaksとも、ノーコメントを貫いている模様だ。




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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