ニュース記事

細胞解析のシンクサイトがシリーズCで合計45億円の資金調達、キリンCVCなどが応じる

INDEX目次

ライフサイエンス、医療分野のスタートアップであるシンクサイトは2024年8月29日、シリーズC資金調達ラウンドで、16億5000万円の獲得を発表した。同時に日本政策金融公庫から5億円を借り入れており、これらに昨年11月のファーストクローズを併せると、シリーズCの調達額は合計45億円となる。

シンクサイトは、細胞解析技術を開発する企業として、2016年に設立。東京大学と大阪大学で生まれた先端技術を基に創業した、大学発スタートアップである。

シンクサイトのイノベーションとは?生物学と医学の開拓を目指す

シンクサイトのミッションは「一つひとつの細胞から、未来の治療・診断を変える」としており、生物学や医学の拡大、人々の生活向上を目指す、と説明する。特筆すべきはゴーストサイトメトリー(GC)技術で、AIなどを用いて細胞を機械的に分析、分離するものだ。

プロダクトとしては、「VisionSort」がある。これは、蛍光フローサイトメトリー、プロファイリング、そしてAIを組み合わせたシステムであり、ラベルフリー(細胞を染色などで標識化しない)での細胞分取や偏りのない単一細胞プロファイリングを実現した。

蛍光フローサイトメトリーは、細胞の分析や選別のための技術であり、細胞や細胞内の特定の分子をレーザーで検出。特定の細胞集団や細胞内成分を識別できる。

VisionSortの紹介動画

同社は2024年1月、医薬品や診断ツールを扱う企業に向けて、新たな提携プログラムを開始した。「疾患プロファイリング」「バイオファーマ」「AI」という3分野で、パートナー企業と協業、共同研究を進める。

資金調達の目的はマーケティング強化や新商品・新サービス開発

2024年8月のシリーズC資金調達ラウンドでは、キリンホールディングスのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)であるKIRIN・GB投資事業有限責任組合が主導。ほか、脱炭素に特化したベンチャーキャピタル(VC)、邦銀VCもリードインベスターに名を連ねる。

参考記事:投資先とその技術から見る注目の国内CVC | 医食・機械分野のCVC編

今回の資金調達により、助成金も含めた当社のこれまでの累計調達額は111億5000万円となった。

使途は、「VisionSortのグローバル市場での販売・マーケティング体制の強化」「自社の技術的強みを活かした新プロダクト開発」「VisionSortのデータを活用した新サービスの開発」を挙げる。




【世界の先端医療の技術動向調査やコンサルティングに興味がある方】

世界の先端医療の技術動向調査や、ロングリスト調査、大学研究機関も含めた先進的な技術の研究動向ベンチマーク、市場調査、参入戦略立案などに興味がある方はこちら。

先端技術調査・コンサルティングサービスの詳細はこちら




  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

CONTACT

お問い合わせ・ご相談はこちら