メルセデス・ベンツとCATLが将来の電池技術開発のために連携強化を発表
2020年8月、メルセデス・ベンツと中国のリチウムイオン電池サプライヤのCATL(Contemporary Amperex Technology Co., Limited)が戦略的パートナーシップを深化させて、電池開発における連携を強化することを発表した。
シュトゥットガルトを本拠とする高級自動車メーカーのメルセデス・ベンツは、リチウムイオン電池を開発製造するCALTが供給するカーボンニュートラルで製造された高度なバッテリーセル、モジュール、システムによって、「Electric First(電動ファースト)」を加速している。
メルセデス・ベンツとCATLの連携強化の意図は?
今回の合意は、革新的な技術構成を推進するうえで、メルセデス・ベンツの乗用車向けのモジュールのセルから、バン向けのバッテリーシステムに至るバッテリー技術全域を対象としている。
これには、従来のモジュールを一掃し、セルを直接バッテリーに統合するCATL cell-to-pack(CTP)設計も含まれている。
セルを直接バッテリーに統合するCATLのcell-to-packとは?
2019年に開催された国際モーターショー(IAA)でCATLが発表したのが、中間工程となるモジュールを廃止して、セルを直接パックに組み込むもの。
これは、モジュール単位での交換などはしにくくなる一方で、接続部や部品点数の大幅な削減が見込まれ、同じ設置スペースにより多くのセルを設置できるようになるため電池容量の拡大につながる。
テスラも似たような方向性を模索しているとされる。テスラが2019年に出願した特許「US20190312251 - AGGREGATED BATTERY SYSTEM」では、互いに平行な直立状のセルを敷き詰めて、それぞれのセルの正端と負端の両方をコレクタープレートに接続する。これを1つのパッケージの中で実装するのである。
CATLが研究開発するCTP設計が上記のような形かは不明であるが、設計思想としては近いと考えられる。
メルセデス・ベンツの狙い ~高級セダンにCATL電池を採用~
メルセデス・ベンツは「Ambition2039」で、気候に中立な新しい乗用車の長期ビジョンを追求し、CO2中立への転換を積極的に推進している。今回の提携による明確な目標は、開発サイクルを短縮し、エネルギー密度を前進させることで将来のバッテリーの走行距離を大幅に拡大し、充電時間を短縮することである。
電動化を高級車セグメントの顧客にとって、より魅力的にするために、この目標は野心的なものになっている。メルセデス・ベンツが来年顧客に提供予定のEQS高級セダンの開発目標は、700キロ(WLTP走行距離)以上の長い距離と、現行モデルよりも2倍速い充電速度である。またメルセデス・ベンツEQSは、CATLセルモジュールを搭載すると発表した。
電池にとって重要となる、フォルクスワーゲンの電池ロードマップ発表の内容についても整理したのでご参考。
参考:Volkswagenが2030年までの電池ロードマップを公開、さらにEVを強化へ
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