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悪夢による睡眠障害を軽減するApple Watchアプリを米国FDAが認可

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2020年11月6日、米国FDA(米国食品医薬品局)が悪夢による睡眠障害を軽減することを目的としたApple Watch向けアプリに対して、デバイスの販売を許可した。このアプリは米国ベンチャー企業のNightware Incが開発した。

悪夢による睡眠障害を軽減するアプリとは?

Nightwareが、心的外傷後ストレス障害(PTSD)による悪夢を抱えている成人を対象として、睡眠障害を軽減するアプリを開発した。これは、Apple Watchから取得される睡眠中の身体の動き(体動)と心拍数をモニタリングし、独自のアルゴリズムでデータを解析することによってユーザーが悪夢を見ていることを検知できる。悪夢を検知すると、ユーザーを起こさない程度の振動をApple Watchを介して与え、悪夢を途切れさせることができる。最初の数日間はユーザーの睡眠パターンをAIで学習し、その後は悪夢を検知できるようになるという。

発表によると、このデバイスは70人の患者を対象として、30日間の比較試験で研究された。デバイスを着用したが振動刺激が与えられないグループと、振動刺激が与えられたグループに分けられ、それぞれの効果を比較。睡眠改善の有意な成果が出たという。

なお、このデバイス単体でPTSDの治療が行えるわけではなく、PTSDの処方薬や、PTSD関連の悪夢障害に推奨される治療法と組み合わせて使用する必要があるとしている。また、このアプリは医療提供者の監督下で使用されることを想定している。

メンタルヘルス・睡眠障害に取り組むNightware社とは?

今回発表のあったNightware Incは2017年に設立された米国ミネアポリスのベンチャー企業。まだアーリーステージであるが、2020年1月には第38回JPモルガンヘルスケア投資会議でホットなヘルスケアスタートアップに選出される。

同社に関する情報は多くないが、同社の戦略パートナーにはMDVA(Minnesota Department of Veterans Affairs:ミネソタ州退役軍人局)がおり、フィナンシャルスポンサーにもなっている。ここから推測するに、同社のニーズの起点はこうした退役軍人のPTSDへの対応として、同社のソリューションに繋がっていると考えられる。


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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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