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自動運転マシンビジョンAIを開発するRecogniがシリーズBで48.9m$を調達

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2021年2月17日、自動運転車向けのマシンビジョンAIシステムを開発するRecogni Inc.はWRVI Capitalが主導するシリーズBの資金調達ラウンドで、48.9m$(約51.5億円)を調達したと発表した。なお、今回のラウンドにおいては、既存の投資家であるGreatPoint Ventures、トヨタAI Ventures、BMW i Ventures、Fluxunit – OSRAM Ventures、DNS Capitalに加えて、新規投資家としてMayfield Fund、コンチネンタル、ロバートボッシュベンチャーキャピタルが参画している。

超低消費電力で高パフォーマンスを実現

2017年に米国カリフォルニア州で設立されたRecogniは、ディープラーニングを使ったマシンビジョンAIシステムを開発している。

同社のVCM(Vision Cognition Module)は、カスタマイズされた低電力ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)に機械学習を組み合わせ、ハイダイナミックレンジのステレオカメラかからの撮像をインプットとし、高解像度、高フレームレートの画像処理をリアルタイムで同時に実行することができる。

同社のマシンビジョンプロセッサは、1000TOPS(Tera Operation Per Second:1秒あたりの1兆回の処理)の処理能力を有し、10ワットの電力を消費する。つまり、100TOPSの処理をわずか1ワットの電力消費量である。それでいて、200m離れた信号を確認し、リアルタイムに正しく把握できる。
参考)中国の新興EV・自動運転企業のNIOは、NVIDIAと提携し、次世代車種ET7で「NVIDIA DRIVE Orin™」という次世代プロセッサの搭載を予定している。このプロセッサの処理能力は1基あたり254TOPSであり、ET7では4基搭載して1000TOPSを超える性能を実現するという。このNVIDIA DRIVE OrinTMは2022年の製品化を見据えて開発が進められており、現在の自動運転における最先端の水準が、処理能力で見ると1000TOPSであることがわかる。

Recogniはブログで、現在自動運転車で使われている画像認識はGPUなどのレガシーテクノロジーに依存しており、これは自動運転車向けに特化したものではないため、制限があると主張する。同社の特徴である、超低消費電力、かつリアルタイム性というのが自動運転には求められるとしている。

今回新しく投資家として参画したロバートボッシュベンチャーキャピタルのマネージングディレクターのIngo Ramesohl氏はこう述べる。「RecogniのAIを活用した推論プラットフォームは、ADAS機能と自動運転の開発を加速させることができます。Recogniのソリューションの卓越した電力効率は、自動駆動プロセッサの現在の状況を根本的に変える可能性を秘めています。」

Recogniのシステムの商業化は間近

同社のブログによると、「自動運転車における既存のGPUの性能制約を解決するために、2021年にこのシステムを市場へ出さないといけない」と述べており、商業化は近いことを示唆している。

また、今回調達した約50億円もの資金は、RecogniのマシンビジョンAI認識プラットフォームを市場に投入し、エンジニアリングチームと市場開拓チームを拡大するのに使うという。商業化に向けた本格的な準備に入ったということが言えるだろう。

Recogniに関する記事はこちらも参考:

低電力・リアルタイム処理が強い自動運転マシンビジョンAIを開発するRecogni

(今回参考のプレスリリースはこちら



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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