自動車データ管理のCerebrumXのシリーズAでLGやセレンスが出資
AI駆動でのコネクテッドカーデータ管理プラットフォームを開発している米国ベンチャー企業のCerebrumXが、シリーズAの資金調達ラウンドを実施したと4日に発表した。リードインベスターはLGグループのベンチャーキャピタルであるLG Technology Venturesで、車載向け音声AIインターフェースのセレンスも投資家として参加している。なお、今回の調達金額は非公開となっている。
コネクテッドカーデータ管理のCerebrumX
富士経済によると、コネクテッド機能を持った自動車(乗用車・商用車)は2019年時点で世界全体で3,120万台となり、2035年までに9,420万台まで成長すると予想している1)。また今回のCerebrumXの発表によると、40%の消費者が自動車を購入後に機能が追加されることを望んでおり、プレミアムセグメントになるとその比率は50%に拡大する。そうした中、コネクテッドカーでのOTA(Over The Air)による機能追加も注目されている。
急速に拡大するコネクテッドカーにおいて、そのデータ管理に着目しているのがCerebrumXだ。
CerebrumXは、拡張ディープラーニングプラットフォーム(ADLP)を備えた車両データ管理プラットフォームを開発している。このADLPは、車両の健康状態、メンテナンス履歴、走行データ、クラッシュ分析、自動車内でのアプリケーション使用状況などのデータを収集する。車両から収集できるデータを正規化し、POI(Point Of Interest:乗車している人が興味を持つポイント)、天気情報、道路規制情報などの周辺情報を付加し、APIを通じてリアルタイムでデータを取り出すことができる。
ユースケースとしては、例えばアフターマーケットにおいて、自動車ディーラーが車両の状態を診断してユーザーに説明したり、車両の状態診断を行ったり、メンテナンスをいつすべきか保全予知を行う。他にも、自動車事故が起きた際に事故前後の診断レポートを出力することで、保険会社が分析のための詳細なデータを得ることができる。
「車両内の接続性、自律性、および電化の向上により、車両の健康、消費者行動、緊急事態、都市インフラストラクチャ計画などに関する貴重な推論を提供するために活用できる膨大なデータが生成されます。CerebrumXプラットフォームは、OEMおよびパートナーが車両データから完全な価値を引き出すことを可能にし、追加の収益モデルを構築することを可能にします。」と、CerebrumXの共同創設者兼CEOであるSandip Ranjhan氏は述べている。「エッジとクラウドに配置された構造化されたリアルタイムのデータ管理とインテリジェントコンピューティングにより、自動車OEMとエコシステムパートナーに、消費者体験を再定義するサービスを開発するための信頼できる安全なプラットフォームを提供します。」
なお、同社はすでに自動車OEM4社と実証実験を開始しているとも発表している。
セレンスの音声AIインターフェースと統合し高度インフォテイメントを実現
セレンスは音声AIを中心とした車載インターフェースを提供しているが、今回の出資をきっかけに、CerebrumXのプラットフォームをセレンスの音声AIインターフェースと統合する。
セレンスのクラウドサービスであるCerence Cloudに接続されている車は5,000万台を超えており、CerebrumXのプラットフォームを活用することで、これらの車両とドライバーの行動データを活用し、自動車OEMにおける新しい収益源やビジネスモデルの構築を支援することを狙う。
(今回参考のプレスリリースはこちら)
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