Insight LiDARが自動運転向けの歩行者ジェスチャー認識機能を開発
高感度FMCW LiDARを開発している米国ベンチャー企業のInsight LiDARが、自動運転向けのLiDARシステムにおいて、高解像度と速度検出を組み合わせた歩行者のジェスチャー認識機能を開発したと発表した。
Insight LiDARが開発するFMCW LiDAR
同社のデジタルコヒーレントLiDARは、FMCW(周波数変調方式)を使ったLiDARだ。FMCWについては様々な記事でも触れているが、従来から車載においてはミリ波レーダーで使われてきた測定手法である。時間の経過に応じて周波数が直線的に上昇するように変調を行った電磁波を連続的に照射し、送信波と反射波の周波数差から距離を求める。
特徴としては、いわゆる通常のLiDARでの検出方式であるToFに比べて感度を高くすることができ、他の反射波の干渉や、雨や霧といった影響も受けにくい。また、速度を測定することもできるため、4Dという表現がされることもある。
同社のFMCW LiDARは、技術の出自は高解像度の医療・産業用イメージングで12年以上の経験をもとにして開発されたもので、200m超の距離で低反射率の物体を検知することができる。半導体技術がベースにもなっており、数百万ユニットの低コスト生産に向けてスケールアップしやすいことも特徴だ。
歩行者の行動解析
今回、同社の製品であるInsight 1600で追加した機能である歩行者の行動解析は、下記の動画で見るとわかるように、数~10m程度離れた距離にいる歩行者の動作を捉えている。
通常、自動運転におけるLiDARは物体認識のために使われるもので、こうしたジェスチャー(動作)を認識できる機能まで踏み込んでいるのは珍しい。
事業開発担当VPのGreg Smolka氏はこう述べている。
「Insight1600を最初に設計したとき、特に他の車両の動きに関して、すべてのピクセルでの超高解像度と瞬間的な低速検出が、自動運転における車両制御の意思決定に重要であると期待していました。しかし、知覚チームがこの重要な情報を使用する方法に驚いています。近くの物体を分離して遠くの物体をより正確に特定することから、歩行者の動きを予測することまで、このデータが安全なAV操作にとって、どれほど重要であるかがわかります。」
なお、同社が2020年に発表していた時点でのスペックは以下となっている。
- 検出距離 最大200m(反射率10%)
- 角度分解能 0.025°×0.025°
- FOV 120°×340°
- 光源波長 不明
(今回参考のプレスリリースはこちら)
MEMS LiDARやFMCW LiDAR、フェーズドアレイなど、方式別の技術動向や特徴について知りたい方はこちらも参考。
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