【上海モーターショー2021】Baidu(バイドゥ)が2023年までに100都市でレベル4自動運転を提供することを発表
2021年4月19日、上海で行われている上海モーターショー2021で、中国のIT大手であるBaidu(バイドゥ:百度)は、同社の自動運転プロジェクトであるApolloの進捗と、今後の方針について発表した。
オープン化で自動運転のOSを狙うApollo
バイドゥは2017年から自動運転プロジェクトのApollo(アポロ)を立ち上げて、会社としてかなりの注力をしている。背景にはバイドゥの中核ビジネスであるIT広告事業の成長が頭打ちしてきたことで、同社はAI技術に10年以上集中投資をしてきたが、そのAI技術のアプリケーションとして自動運転に注目しているためだ。
(補足)なお、バイドゥのApolloについては詳細をこちらでもまとめているので、詳細を知りたい方はこちら
参考:(特集) 自動運転オープン化によるエコシステム構築を狙うBaidu(百度)~俯瞰的に解説~
Baiduの自動運転プロジェクトApolloは、現時点では①自社サービスとして構成される7つのアプリケーション要素と、②開発者・パートナー企業向けのオープンプラットフォームの大きく二つから構成されている。自社アプリケーションで技術を構築しながら、パートナー企業にそのノウハウを共有し、パートナー経由でも自社の自動運転ソリューションを広げていく。
Apolloを構成する自社アプリケーション
通常、クローズドで行われる自動運転の開発を、広くパートナーを募り、オープンにすることで自動運転開発を飛躍的に加速することを狙っている。同社のパートナー企業はすでに100社を超える。
なお、今回の上海モーターショーでの発表では、従来のソリューションをアップグレードし、自動運転の研究開発サイクルを現在の7年から6か月に大幅に短縮する機能があることを明らかにしている。
(補足)上記の詳細は不明であるが、ゼロから自動運転を開発するのではなく、Apolloですでにある程度機械学習が済んでいるシステムと、バイドゥが保有するシミュレーションと実データを使い、ある程度完成している自動運転システムをユーザーのシステムに統合して微調整するのに6か月かかる、という意味合いではないかと想定される。
自動運転レベル4のApollo Navigation Pilotを100都市で適用
バイドゥは自動運転レベル4を実現する同社の自動運転システムであるApollo Navigation Pilo(ANP)を、昨年12月に発表していた。
これは視覚センサーベースとHDマップを組み合わせた自動運転システムとなっている。高速道路だけでなく、都市道路でも利用可能である点も特徴で、LiDARを使うシステムと比べて低コストで大量生産が可能なシステムであるとしている。
(補足)ちなみに、バイドゥはこれまでのApolloプロジェクトにおける自動運転システムは、LiDARとレーダーも使った冗長でロバストな知覚システムとなっていた。
そして、今回の発表の中で、同社のレベル4自動運転システムの路上テストの走行距離が、1,000万kmを超えたと発表した。さらに、Apolloの自動運転シミュレーションテストベースでは走行距離データは10億kmを超え、高精度のHDマップは毎分更新されているという。
バイドゥはまた、ANPが適用される都市を今年で20都市、そして2023年までに100都市の都市道路と高速道路とすることを発表。従来から展開している自動駐車機能を持つApollo Valet Parking(AVP)ソリューションとともに、今後3〜5年間で、Apolloのソリューションを100万台の車両にプリインストールすることを目標としている。2021年の後半には、Apolloに毎月少なくとも1つの量産車モデルがプリインストールされるようになるという。
バイドゥと奇瑞汽車が戦略的提携を発表
また、上海モーターショーでは、バイドゥと奇瑞汽車が戦略的提携を発表し、調印式を行った。
元々、奇瑞汽車はバイドゥのApolloプロジェクトの中核パートナーであり、プロジェクト立ち上げより以前からバイドゥと協力関係にあった。奇瑞のChery Lion OSはApolloの中のソリューションの1つであるDuerOS for Apollo(車載音声インターフェース)を組み込んでいる。
今回の戦略的提携の意図は、こうした一部のソリューションの導入での協力のみならず、包括的な自動運転やコネクテッド、V2Xといった次世代自動車における協力に向けて、両社の関係を見直すものとなっている。
(今回参考のプレスリリースはこちら)
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