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バイドゥ(Baidu)が北京で有料無人運転ロボタクシーを開始

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中国で自動運転技術を開発するIT大手のバイドゥ(百度:Baidu)が、5月2日から北京で無人運転ロボタクシーの有料サービスを一般公開することを発表した。

バイドゥが開発するロボタクシー

バイドゥは自動運転技術の開発に力を入れており、Apollo(アポロ)プロジェクトを実施している。Apolloのオープンな自動運転エコシステムにより、バイドゥが開発する自動運転のシステムや様々な運転支援機能を、より素早く、安価に、様々な企業や団体が導入することができる。

一方で、自動運転やADASの技術開発だけでなく、自社でもロボタクシーなどのアプリケーションサイドまで手掛けており、今回のApollo Goロボタクシーサービスは、完全自動運転の無人ロボタクシーサービスの実用化を狙っている。

先日の上海モーターショー(Auto Shanghai)でも、自動運転レベル4のApollo Navigation Pilotシステムを100都市で適用することを発表。同社のレベル4自動運転システムの路上テストの走行距離は、1,000万kmを超えており、高精度のHDマップは毎分更新されていることも明らかにした。

参考:【上海モーターショー2021】Baidu(バイドゥ)が2023年までに100都市でレベル4自動運転を提供することを発表

今回の発表では、Apollo Goアプリを利用したロボタクシーサービスとなっており、ユーザーは近くのロボタクシーを見つけ、無人セルフサービスプロセスのシステムを介して自分で無人の乗り物を呼ぶことができる。自動運転ロボタクシーのロックを解除するには、ユーザーは、本人確認とパンデミック防止の目的で、車のQRコードと健康コードをスキャンする必要がある。

ロボタクシーに搭乗して「Start the Journey」ボタンを押すと、システムがシートベルトが締められ、ドアが閉まっていることを確認する。安全を担保するドライバーがいないため、5Gリモートシステムにより、例外的な緊急事態が発生した場合に人間のオペレーターがタクシーに対してリモートアクセスできるようになっている。

また、2022年の北京冬季オリンピックでも、アスリートとスタッフに対してシャトルサービスを提供するために、Apolloロボタクシーが利用可能になるという。

Baiduの自動運転技術担当副社長兼ゼネラルマネージャーであるYunpeng Wang氏はこう述べている。
「自動運転の商業化には、無人サービスの導入が欠かせない段階にあります。本日、北京で完全無人ロボットサービスを一般公開します。これは、多くの都市で長期間にわたって無数のスケーラブルな無人運転テストを実施して初めて達成したものです。 」

中国で進むロボタクシーの社会実装

同社の今回の発表では、ドライバー無しの無人で一般に広く有償ロボタクシーサービスとして公開されるのは、中国初と述べている。

今年1月にはAutoXが深圳でロボタクシーのパイロットプログラムを開始し、中国における一般の道路においてドライバーの乗車無しで、一般車両と変わらない速度で無人運転実証実験を実施したことが話題となった。またWeRideは今年2月に広州でロボタクシーサービスの正式な許可を得ている(これが有料なのか無料での実証の延長なのかは不明)。

今回参考のプレスリリースはこちら


ー 技術アナリストの目 -
本格的に中国でロボタクシーサービスの実証が拡がってきています。まだ北京全域という訳ではないと思いますが、有料でのロボタクシー実証が今回バイドゥによって開始されました。深圳・広州・上海でもロボタクシーの実証プログラムは規模を拡大させており、今年有料化してもおかしくない状況にあります。自動運転技術の短期的な社会実装に向けて、中国がこうしたハイテク市場を牽引していく可能性を強く感じます。

  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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