MayoクリニックがECGから心臓病の早期検知を可能にするAIを開発
ECG(心電)データは、元来専門医がその波形を見ることで、心電波形の異常を診断してきた。そしてこの領域ではAIで心電波形の微妙な異常を読み取り、心疾患の早期検知や初期兆候の検知などを行う技術がベンチャーや大学研究機関で開発されている。
低駆出率を検知するAI
今回、米国の大手病院グループであるMayoクリニックが、ECGから心臓病の早期検知を可能にする、「低駆出率」(心拍ごとに心臓が十分に強く収縮して、そのチャンバーから血液の少なくとも50%を送り出すことができない比率、として定義される状態)をAIで検知する技術を開発し、Nature Medicineに掲載されたと発表した。
なお、この低駆出率であるが、心臓に超音波をあてて検査を行う心臓超音波(心エコー)検査であれば検知が可能であるが、この方法は時間もかかり、検査実施者の技量も必要となる。そこでMayoは深層学習を使った検知アルゴリズムを使い、12誘導心電図(ECG)に基づいて低駆出率を検知する研究に取り組んでいた。
今回実施したEAGLE(ECG AI-Guided Screening for Low Ejection Fraction)試験は、ミネソタ州とウィスコンシン州の地方の診療所、地域医療センター、学術医療センターを含む45の医療機関で行われた。今回の実証に使われたECGデータは、22,641人の心不全経験の無い成人を対象として、普段のルーティンケアで得られたデータを活用している。規模としてかなり大規模な実証研究となっている。
「AIによる介入で、駆出率が低いと診断されるケースが、通常のケアのみでのケースと比較して全体で32%増加しました。」とXiaoxi Yao博士は述べている。
なお、この開発されたアルゴリズムはいくつかの企業へライセンス供与されており、1社は心電図解析AIを開発しているAnumana社となっている。
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参考文献:
1) Yao, X., Rushlow, D.R., Inselman, J.W. et al. Artificial intelligence–enabled electrocardiograms for identification of patients with low ejection fraction: a pragmatic, randomized clinical trial. Nat Med 27, 815–819 (2021). https://doi.org/10.1038/s41591-021-01335-4
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