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視覚障害診断のウェアラブルAIデバイスベンチャーがシリーズAで約32億円を調達

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視覚障害の人口は世界で数億人規模

視覚障害の人口は世界で数億人規模で存在しており、視野欠損または複視を持つ人は近くに目の検査をする診療所へのアクセスが制限されている場合、予約に長時間待つことになる。

米国ベンチャー企業のHeruは、そうした視覚に関する障害を診断するためのウェアラブルAIデバイスを開発している。同社のデバイスは、大規模な設備投資や専用の診察室を必要とせずに、さまざまな病気を診断するように設計されている。

視覚検査用のウェアラブルAIデバイス

同社が開発した技術はソフトウェアベースの技術となっており、ハードウェア自体は市販のヘッドセットデバイスを使うことができる。例えば、MagicLeapから市販されているMagicLeap1や、Microsoftから市販されているHololens2などの拡張現実・仮想現実ヘッドセットを使うことが可能だ。

緑内障、脳卒中、そしてその他の目の病気の患者からの、何千もの視野検査で学習された独自開発のAIアルゴリズムによって、どこでも視覚検査を行うことができるようになる。また、追加のAI駆動型視覚診断・拡張アプリケーションも開発中であるという。

このデバイスは米国食品医薬品局(FDA)でクラスⅠの501k免除デバイスとしてすでに登録されており、販売可能な状態となっている。

シリーズAで大きく躍進

Heruは今回、シリーズAで30m$(約32億円)の資金を調達したことを発表した。出資者は、SoftBank Ventures Opportunity Fund、Maurice R. Ferre、MD、Frederic H. Moll、MD、Krillion Ventures、および開発と立ち上げの豊富な経験を持つ投資家のコンソーシアムが参加したグローバル投資会社D1 CapitalPartnersらがリードインベスターとして今回の調達ラウンドに参画している。

今回の調達により、前回2020年12月に実施したシードラウンドの2.7m$を合わせると、32.7m$(約34.9億円)の資金を累計で調達したことになる。

シリーズAの資金調達を主導したD1 CapitalPartnersのJames Rogers氏はこう述べている。
「このテクノロジーは、アイケアを根本的に変革する可能性を秘めています。Heruのテクノロジーは、開業医の負担を軽減し、請求の機会を増やし、従来のアイケアの実践を超えて、ポイントオブケアを拡大するように設計されています。」

今回調達した資金は、同社の眼の診断および視力矯正(増強)技術プラットフォームの開発を促進するのに活用される予定となっている。

 

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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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