Baidu(バイドゥ)とHesaiがロボタクシー用にLiDARを共同開発
自動運転システムやロボタクシーを開発するBaidu(バイドゥ)Apolloは、Apolloの第五世代ロボタクシー向けに、中国のLiDARベンチャーであるHesaiとLiDARを共同開発していることを明らかにした。
また、合わせて両社はまだ公表されていない新しいハイブリッドソリッドステートLiDARの研究を行うことも発表している。
Boschが支援するHesai Technology
中国のHesaiは元々はシリコンバレーで創業され、現在は本社が上海にあるベンチャー企業。すでに数百人もの従業員がおり、製品は商用化されている。同社の主力製品は360°のスキャンが可能なメカニカルLiDARであり、高精細な解像度を特徴としている。独自に開発されたレーザー光の相互干渉を防ぐ「干渉防止機能付き」を持っていることも特徴となっている。
このHesaiはBoschが支援しており、昨年1月にSeriesCでBoschとLightspeed Chinaをリード投資家として、134.9m$もの資金を調達。中国国内のLiDARプレーヤーで、1回の調達額としては最高となる額の調達に成功した。また、バイドゥも同社には出資を行っており、以前から関係は緊密であった。
HesaiはすでにソリッドステートLiDARであるPandarGTを開発済みであり、このソリッドステートは検出範囲300m(反射率10%)という長距離性能を実現している。同社によると、長距離性能を出すために同社は光源に1,550nmのファイバーレーザーを使っている。ファイバーレーザーのコストが高いことやサイズの問題、温度範囲が狭いなどの問題があるが、同社は自社で独自に設計したファイバーレーザーを開発。これらの課題をクリアし長距離性能を実現することとなった。一方でFOVは水平60°×垂直20°であり、他のソリッドステートに比べるとやや水平FOVが狭いスペックとなっている。
Baidu Apollo向けにメカニカルLiDARをカスタマイズ
今回のBaiduとHesaiによる発表では、Baidu Apollo向けにカスタマイズされて開発されたHesaiのメカニカルLiDARは無人ロボタクシーの商業運転で利用されるという。今回、改めて開発されたこのLiDARは、同じタイプの汎用LiDARに比べてコストが50%近く削減され、近接測定精度が±2cmに向上したという。
また、ビーム角度分解能の最適化とBaiduの強力なセンシングアルゴリズム機能により、実際の有効センシング距離は、現在市場で使われているメカニカルLiDAR主要製品の1.5倍に達することも明らかにした。
将来的に都市部で運用される無人ロボタクシー数千台で使われることを見越して、LiDARはOTA(Over The Air)を同時にサポートして、バッチインテリジェント管理とリモートアップグレードにも対応している。
バイドゥの第五世代ロボタクシー
今回HesaiのLiDARを採用するバイドゥの第五世代ロボタクシーはこれまでのバイドゥの走行実験を元に開発されており、この6月には公道でテストが行われ、今年第三四半期には量産化することが計画されている。
2021年5月から、すでに北京ではロボタクシーの商用運転がスタートした。
参考:バイドゥ(Baidu)が北京で有料無人運転ロボタクシーを開始
近い将来、広州と上海で共有の無人運転サービスを開始する予定であり、今後3年間で、Baidu Apolloは30の都市で3,000台の無人ロボタクシーを展開する計画となっている。
今回参考のバイドゥの発表はこちら
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