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Xpengも自動駐車機能がOTAで実装、進む実用化の動き

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中国のスマートEV企業のXpeng(シャオペン、小鵬汽車)は、同社のスマートEV向けOSであるXmart OS2.6.0をリリースし、OTAアップグレードで、自動駐車アシスト機能のβ版をリリースした。

Xpeng独自開発の自動駐車システム

ADASから自動運転に続く技術開発において、中国の複数のメーカーから実装が続いているのが、自動駐車アシスト(Valet Parking Assist)機能である。今回発表されたのは、ガレージや駐車スペースなどの超低速運転シナリオ向けに設計された、XPengが自社開発した新しい自動駐車アシスト機能となっている。

Xpengが今回実装した自動駐車アシスト機能は、記憶された駐車スペースから、最大1,000m以内の同じ階で、メモリベースの自動駐車を実行できるもの。ドライバーは事前にルートを設定しておき、駐車スペースのあるエリアに入るタイミングで、自動駐車機能をオンにすると、所定のルートを低速で走行して、記憶されたスペースへと駐車を自動で行う。

なお、このメモリは固定された1台のスペースのみならず、最大100台分の駐車スペースを記憶することができ、駐車スペースなどの外部環境の静的な物体と、歩行者や車両などの動的な物体を認識し、駐車までの一連の流れにおいて、最適に車両の動きを制御する。

この機能は、Xpeng XPILOT3.0ハードウェアシステムを搭載しているXPeng P7 PremiumバージョンとWingエディションで使用できる。

実用化が続く自動駐車システム

現在、自動駐車システムに関する発表が相次いでおり、ADASの延長で自動運転機能の実用化が期待されている。

バイドゥ(Baidu)の自動運転プロジェクトApolloにおいては、AVP(Apollo Vallet Parking:自動駐車支援システム)を開発。モジュール化して、バイドゥと提携するOEMやTier1にシステムを提供している。先日の上海モーターショーで話題となった、WM MotorのW6は、このバイドゥの自動駐車支援システムを搭載し、駐車場に入った後は自動で周囲を認識し、無人で駐車をすることができる。

参考:【上海モーターショー2021】WM MotorのW6が6,000台の受注をしたと言及

また、今年バーチャル開催されたCES2021において、ボッシュは自動バレーパーキングソリューションのデモを発表。V2Iの1つの取り組みとして、駐車場に設置されているインフラと車両側のセンサーの協調により、自動駐車を実現しようとしている。

先日、シリーズDの資金調達が発表されたADAS・自動運転システムを開発するZongMu Technologyも、自動運転レベル4の技術開発を行っており、短期的なアプリケーションとして自動駐車支援システムを量産し始めている。

参考:ADAS・自動運転ベンチャーのZongMu TechnologyのシリーズDが完了、デンソーやXiaomiが出資

一方で、過去から日本メーカーも自動駐車システムに取り組んでおり、例えばトヨタのヤリスに搭載されていたりもするが、搭載は現時点では限定的となっている。矢野経済研究所の推計でも、2025年時点で自動駐車システムは世界で約200万台(新車ベース)となっており、当面は駐車支援システムが主流になる見込みだ。


ー 技術アナリストの目 -
まだ一部の高級セグメントの車種でしか実装されておらず、また実装されていたとしてもベテランドライバーは特に駐車を苦にしないため、現時点の断面だけで見るとあまり利用されていない、という捉え方になるのだと考えられます。一方、今後、運転歴の浅いドライバーが利用できるようになると、一気に市場ニーズとマッチしそうな技術であり、直近でも中国を中心として実装が進む可能性もあるため、Xpengのみならず他のスマートEVメーカーでもどうなっていくのか要注目したいところです。

  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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