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自動ピッキングロボットを開発するSoft Roboticsが追加のシリーズBで10m$を調達

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食品や小売業向けの自動ピッキングロボットを開発しているベンチャー企業のSoft Roboticsが、すでに実施していたシリーズBの追加調達となる10m$を調達したことを発表した。

今回の追加調達は、Material Impact、Scale Venture Partners、Calibrate Ventures、そして米国の大手食品企業であるTyson Foodsのベンチャーキャピタル部門によって主導された。

ソフトグリッパとAIを使った高精度ピッキングロボット

Soft Roboticsは、2013年に設立された米国のベンチャー企業である。ABBやFANUCなどの大手産業用ロボットメーカーも同社に出資をしている注目企業だ。

従来ロボットというのは堅くて形状変化の無いロボットハンド・グリッパを使うことが多く、現在でも産業用ロボットのほとんどがこうしたソリッドなハンドとなっている。一方Soft Roboticsが開発したのは柔らかくて柔軟なハンドであり、これまでピッキングすることが難しかった「柔らかいもの」を掴むことができる。

チキンウィングを自動でピッキングしていく様子

https://www.youtube.com/watch?v=8jnsv10t1nc
同社公開の動画への直リンク

同社の概要についてはこちらの記事でもまとめている。

参考:高い柔軟性を持つソフトグリッパーを開発する米国ベンチャーSoft Robotics

追加資金は商業活動拡大とAIへ活用

Soft Roboticsは今回調達した資金を、現在需要が旺盛なピッキングハンドやシステムの提供のための商業活動拡大と、同社が開発したSoftAI™という3DビジョンとAIによる認識・制御アルゴリズムを使ったロボットソリューションの立ち上げに使う。

COVID-19の影響により、安全性の高い(人との接触が無い)食品機械の需要が旺盛となっており、同社は追加資金調達を行うことで、この需要を取り込むつもりであるようだ。プレスリリースによると、実際にこのCOVID-19が流行してから、製品に対する急速な需要増加を経験しており、同社が設立されて以降、2つの最大の四半期販売数を記録したという。

 

同社HPはこちら


ー 技術アナリストの目 -
前回の記事で指摘したように、シリーズBより以前にCEOだったCarl Vause氏は退社し、経営陣の入れ替えがあったようです。よくあることですが、以前は思ったような事業展開ができていなかった可能性があります。一方で、現在はCOVID-19の影響もあり、感染の危険性が低いロボットによる自動化というのは需要が旺盛であるということで、経営的には追い風の状態のようです。

  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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