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空飛ぶ車のLiliumがシリコン負極電池セルのCUSTOMCELLSをパートナーに選定

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空飛ぶ車・eVTOLを開発しているベンチャー企業のLiliumが、同社の7人乗りeVTOLの電池セルのサプライヤとして、シリコン負極電池セルを開発しているCUSTOMCELLSをパートナーとして選んだことを、7月28日に発表した。

セル開発のスペシャリストCUSTOMCELLS

CUSTOMCELLSは、2012年にドイツのフラウンホーファー研究所からスピンアウトしたベンチャー企業だ。様々な研究機関・大学・民間企業と提携して、先端的な電池セル開発を行っている。

他の電池ベンチャーのように、何か1つの化学構成の電池を武器にしているわけではなく、同社は電池セルの設計開発に長け、様々なアプリケーションに合わせて開発する、カスタマイズを得意とする。

開発に際しては、プレリチウム化シリコンアノード材料や高ニッケルカソード材料の使用など、新しい技術も取り入れることができる。また、材料だけでなく、製造装置も保有しており、ドライルームとクリーンルームでの高品質な製造プロセスを活用することや、材料処理のためのカスタマイズも可能という。

同社には600以上の顧客がおり、1,400以上の開発集約型プロジェクトを完了し、顧客との契約の下で、4つのセル工場を設計・立ち上げを完了している。

なお、顧客の中の1社はドイツの自動車メーカーのポルシェであり、ポルシェとCUSTOMCELLSは、これまで両社で実施していた次世代電池の開発を合弁会社を立ち上げて行うことを、2021年6月に発表している。

シリコンアノードリチウムイオン電池セル

そのポルシェとのプロジェクトで開発したのが、今回Liliumに採用されたCUSTOMCELLSのシリコンアノードリチウムイオン電池セルだ。

Liliumは2024年の商業化に向けて準備を進めており、eVTOLの航続距離や稼働率(充電時間によって影響)に関わる重要なコンポーネントの電池サプライヤを探索していた。

なお、以前Liliumから発表されていた内容を振り返ると、Liliumはこれまでに50社以上の電池を評価し、セルの構成についてはシリコン含有負極のリチウムイオンパウチセルを選択したと発表していた。サービスイン時のターゲットとなるセルの重量エネルギー密度は330~350Wh/kgになるという。また、充電時間の目安は80%充電で15分、100%充電で30分以内が要求仕様となっていた。

参考:空飛ぶ車ベンチャーのLilium(リリウム)のSPACを詳細解説

(補足)実際に上記の仕様が満たされたのかはLilium・CUSTOMCELLSのどちらからもスペックについての言及がないため不明である。

Lilium CEOのDaniel Wiegand氏はこう述べている。

「彼らはすでにいくつかの顧客のためにシリコンアノード電池の製造を開始しています。CUSTOMCELLSのような次世代企業と一緒に仕事ができることを嬉しく思います。」

 

CUSTOMCELLSのHPはこちら


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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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