非侵襲グルコースモニタリングを開発するイスラエルのHAGARがシリーズBで約13億円を調達
非侵襲グルコースモニタリング技術を開発しているイスラエルのベンチャー企業HAGARが、シリーズBの資金調達を実施したことを8月12日に発表した。資金調達額は11.7m$(約13億円)であり、リードインベスターは投資ファンドのColumbia Pacificとなる。
RFを使った非侵襲グルコースモニタリング技術を開発中
HAGARは2017年にCEOのGuy Zur氏と、会長のBr. General Bentzi Gruber氏、そしてCTOのGerry Waintraub博士によって設立されたベンチャー企業だ。
同社の技術はCTOのGarry博士から来ており、Garry氏は医療・軍事・産業分野など複数の産業にまたがる30年以上のエレクトロニクス分野の専門家であり、RFのエキスパートだ。
HAGARはRFを使った非侵襲グルコースモニタリング技術「GWave」の実用化を目指して技術開発を行っている。このGWaveは、低侵襲や非侵襲によるグルコースモニタリングのアプローチでよくある間質液中のグルコース濃度を測定する(※1)のではなく、血中グルコース濃度(血糖値)を直接測定することができる。
※1 現在、市場で成長しているDexcomやAbbottなどのマイクロニードル型の連続グルコースモニタリングは間質液中のグルコース濃度を測定し、相関関係が認められている血中グルコース濃度を計算する、という方法を取っている。非侵襲アプローチでも分光法などでは間質液のグルコース濃度を測定していることがよくある。
なお、近年RFを使った非侵襲グルコースモニタリング技術に取り組むベンチャー企業が複数出てきており、例えば、以下のMovanoやKnow Labsのような企業が挙げられる。
参考:グルコース・血圧モニタリングウェアラブルのMovanoが上場で最大42.5m$の資金を調達
参考:非侵襲グルコースモニタリングのKnow Labsが14.2m$の資金調達を発表
血中には様々な成分が含まれているため、グルコースを選択的に抽出することは簡単ではない。HAGARの技術の特徴は7つのRFフィルタを使い、数学的に処理をすることでこの問題を解決しようとしている。
スマートウォッチサイズにすることを狙う
GWaveの第一世代のデバイスは、スマートフォンの3分の1の大きさであった。現在は第二世代のデバイスGWave2.0を開発中であり、スマートウォッチサイズにすることを狙い開発が進められている。
GWave2.0では、ユーザーが自分の医療提供者と簡単にデータを共有するため、自分のスマートフォンでグルコースの測定値を見ることを可能にするGWaveスマートフォンアプリケーションにシームレスに接続する。
同社は今回のシリーズBで、累計で17.1m$(約18.7億円)を調達している。今回調達した資金は、今後FDAへの承認申請に向けた臨床試験と、国際特許を取得するのに利用される。
同社の発表によると、この技術は、血糖値が上昇する動きがあるものの、糖尿病であると診断されるには不十分なレベルでも正確に測定が可能であるため、糖尿病の予防にも使えるという。
ワシントン大学の代謝学・内分泌学・栄養学部門で糖尿病治療の医学教授であり、同社の医学顧問も務めるIrl Hirsch博士はこう述べている。
「3歳から1型糖尿病を患っている甥が、3つの携帯型侵襲血糖値測定デバイス、そしてCGMと、GWaveの第1世代デバイスで比較する試験を受けたとき、GWaveの成功を直接目撃しました。95%を超える精度であり、GWaveのテクノロジーは、糖尿病の研究と治療の世界における刺激的なターニングポイントです。」
HAGARのHPはこちら
【世界の非侵襲グルコースモニタリング技術に興味がある方】
世界の非侵襲グルコースモニタリングベンチャーの調査、技術開発フェーズや技術方式の違いなどの動向調査など、網羅的な調査に興味がある方はこちらも参考。
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