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代謝フィットネスプラットフォームのUltrahumanがシリーズBで約19.2億円を調達

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代謝フィットネスプラットフォームを開発しているインドのベンチャー企業であるUltrahumanが、シリーズBで17.5m$(約19.2億円)の資金調達を実施したことを発表した。

今回の資金調達は、Alpha Wave Incubation、Steadview Capital、Nexus Venture Partners、Blume Ventures、iSeed fundなどの様々なVCや個人投資家が参画している。

代謝・グルコースモニタリングと改善のプログラムを提供

Ultrahumanは、2019年にインドのバンガロールで設立されたベンチャー企業だ。

代謝・グルコースモニタリングのためのデバイス(CGM:Continuous Glucose Monitoring)と、健康・フィットネスのためのパーソナライズされた運動・食事のナレッジをアプリで提供するソリューションを開発している。

Ultrahumanがローンチしたアプリの様子

https://www.youtube.com/watch?v=hcWH_srp-YQ
Next Kya公開の動画への直リンク

同社がターゲットとしているのは、代謝性健康障害を持つ人、または初期兆候・前兆を持っている人だ。同社によると、世界で10億人以上が代謝性健康障害に苦しんでいるという。

代謝とは、食事によって栄養素を体内に取り入れ、脂肪、糖質、タンパク質などを作り、体の構成物質に取り入れ、不要なものを排出する一連の体の活動を指す。代謝異常というのは、いわゆる糖尿病や、高血圧、メタボリックシンドローム、脂質異常症など、幅広い疾患が対象となる。

同社のアプローチは、測定したバイオマーカに基づいて、特定の種類の食品が体に与える影響や、運動のために効率的に燃料を補給する方法、より良い睡眠のための食事の方法を教えるコンテンツを提供する。多くのベンチャー企業がセンシングデバイス、またはフィットネスのコンテンツやプログラムのどちらかに特化しているが、同社はバイオマーカーのモニタリングから解決策となるコンテンツまで一気通貫で提供しようとしている点が特徴となる。

同社のグルコースモニタリングデバイスについては詳細が開示されていないが、14日間連続で利用できるようで、いわゆるマイクロニードル型の低侵襲CGMであると想定される。(また、自社で開発したものというよりは他社からセンサーを調達していると想定される)

現在、同社のプロダクトはクローズドβ版となっており、限定されたユーザーで実証を行っている。

今回の調達した資金を活用して、今後、Ultrahumanのプラットフォームを世界中の何百万もの人々が利用できるように製品開発を進めるとともに、より良い品質のバイオマーカー・新しいバイオマーカーによるリアルタイムの健康スコアの品質向上を図る。

 

同社HPはこちら


ー 技術アナリストの目 -
CGMは通常、糖尿病患者(特にインシュリン治療を行う人)が利用するものですが、同社はCGMを使って更に幅広く代謝異常、または懸念のある人に対してモニタリングと改善プログラムを提供することを狙っています。2019年に設立されてわずか3年弱でシリーズBというのはかなりのスピード感で進んでおり、こうしたモニタリングから改善プログラムまで提供するという形式がどのように市場に受け入れられるのか、注目していきたいと思います。ちなみにセンサーの観点からは、現在市場で出回っているCGMの連続使用期間が7日~14日であることが、同社のプラットフォームの強い制約にはなりそうです。

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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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