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Sonosa Medicalが睡眠時無呼吸症候群を治療する超音波ウェアラブルを開発していることを発表

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潜在患者が多い睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、寝ている間に何度も呼吸が止まってしまう病気である。現在、この睡眠時無呼吸症候群の患者は、世界で約10億人存在していると推計されており1)、患者の85%は未診断のままであるという。

一般に、睡眠時無呼吸症候群は寝ている間に起こっていることから、患者は目覚めたことをほとんど覚えていないことも多い。The Lancet Respiratory Medicineのプレスリリースでも、このように指摘している。

「SASの結果もたらされる疲労は、加齢かストレスが原因であると多くの患者は考えます。その他の患者は問題をかかりつけの医師に伝えますが、不眠症、片頭痛、慢性疲労、その他の疾患に誤って診断されます。」

超音波ウェアラブルデバイスを開発中

Sonosa Medicalは2019年に設立されたベンチャー企業だ。超音波ウェアラブルデバイスを開発しており、睡眠時無呼吸症候群の発見と治療に新しい方法をもたらそうとしている。

この米国のベンチャーであるSonosa Medicalは、MDC Studioという医療分野に特化したアクセラレーションプログラムからスピンオフした企業だ。

なお、この新しいデバイスの開発は国防高等研究計画局(DARPA)から支援されているフェーズII中小企業革新研究(SBIR)に採択されており、335万ドル(約3.7億円)の資金援助を受けている。

Sonosaのウェアラブルデバイスは、睡眠中の気道の状態を超音波でモニタリングすることで、気道を直接視覚化して、原因を特定することができる。さらに、寝ている間の気道を正常な状態に保ち、治療を行うこともできるという。現在、まだ同社のデバイスの詳細については開示されていないが、開発を進めているようだ。

現在、ウェアラブルデバイスを用いた睡眠時無呼吸症候群のモニタリング技術は様々な企業が実用化に取り組んでいる。しかし、Sonosaのように気道の状態を直接モニタリングするようなものや、治療も行うことができるデバイスというのは切り口が新しい。

参考:イスラエル企業Itamarが医療グレードウェアラブルのSpryを買収、睡眠時無呼吸症候群の連続モニタリングを目指す

MDC Studioは「独立した事業体としてのSonosa Medical, Inc.のスピンアウトを発表できることを嬉しく思います。」と述べている。

 

Sonosa MedicalのHPはこちら


ー 技術アナリストの目 -
気道のモニタリングと治療を行うことができる、コンセプトとしては画期的なデバイスです。まだ初期のプロダクト開発フェーズであるため、どのようなデバイスなのか、詳細は開示されていませんが、今後の技術情報の公開を追いたいと思います。ちなみに、MDC Studioの存在についても触れておくと、こうした医療分野に特化した技術を事業化することを支援するアクセラレーターがいるというのは、スタートアップエコシステム上、非常に興味深いです。深く専門性で細分化されたVCやアクセラレーターが米国には数多くあり、日本にはあまり見られない構造です。

【睡眠時無呼吸症候群のモニタリング・治療技術に興味がある方】

世界の睡眠時無呼吸症候群のモニタリング・治療の技術動向の調査や、モニタリングのためのデバイス(ウェアラブル、非接触等)の動向調査などい興味がある方はこちらも参考。

詳細:先端技術調査・リサーチはこちら


参考文献:

1) The Lancet Respiratory Medicine, プレスリリース(リンクはこちら


  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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