深圳でロボタクシー実証を進めるDeepRouteがアリババから約220億円の出資を受ける
中国の自動運転レベル4のフルスタックシステムを開発するベンチャー企業のDeepRoute.ai(元戎啓行)が、アリババから出資を受けたことが、中国の企業情報プロバイダのQichacha1)から明らかになった。
またCrunchbaseによると、今回の調達額は200m$(約220億円)とされているが、同社からの公式な発表は無く、実際の調達額は不明となっている。
アリババやバイドゥ、テンセントなどの中国IT大手は自動運転領域に積極的に投資を行っており、今回DeepRoute.aiへ出資したアリババは他にも自動運転ベンチャーのAutoXにも出資をしている。
自動運転レベル4のフルスタックを開発
DeepRoute.aiは中国の自動運転システムベンチャー企業だ。
わずか2019年に設立されたばかりの同社は、清華大学や北京大学、ケンブリッジ大学やコロンビア大学などの有名大学の卒業生や、GoogleやMicrosoft、Fordなどの元社員で開発チームが構成されている。
DeepRoute.aiが開発するフルスタックシステム「DeepRoute-SenseII(第二世代のシステム)」には、7台の車両カメラ、3台のLiDAR、GNSS、その他のセンサー、および対応する通信およびデータ同期コントローラーが含まれている。センサーシステムは車両のルーフボックスとして取り付けられ、そして車両後部のトランクに据え置かれたコントローラーを車両と接続する。
センシング、HDマッピング、ローカリゼーション、知覚、計画と制御、シミュレーション、クラウドベースのデータプラットフォームなど、自動運転テクノロジー内のすべての機能が組み込まれているのだ。
(補足)コンセプトとしては、自動運転システムのプラットフォームのようなものであり、車両そのものを開発するのではなく、様々な車両に搭載されることを想定して開発されているようだ。
自動運転センサフュージョンに特化した推論アルゴリズム
同社は2021年1月に、自動運転レベル4向けのセンサフュージョンに特化した推論アルゴリズムを発表している。
ベースのアルゴリズムはニューラルネットワークであるが、他のオープンソースのディープラーニングフレームワーク(TensorFlow、PyTorch、Caffeなど)は必ずしも自動運転センサフュージョン向けに最適化されているわけではない。
同社はこの用途に特化したプラットフォームとすることで、NVIDIA、Intel、AMDなどの様々なGPUと互換性があり、エネルギー効率が高く、オープンソースフレームワークでの計算よりも6倍高速な推論プロセスを実現する。
深圳でロボタクシーの実証を展開
同社のレベル4のフルスタック自動運転システムを実装した車両で、ロボタクシーの実証実験を展開している。ロボタクシーのパートナーは東風汽車で、アプリを通してユーザーはロボタクシーを利用できる。現時点では無料でサービスが提供されている。
深圳の中央ビジネス地区に20台の自動運転車を配備しており、人気のランドマークやCOVID-19ワクチン接種センターなど、100を超えるピックアップポイントとドロップオフポイントでサービスを提供している。深圳の約124マイルの公道が走行の対象となる。
なお、同社は東風汽車と2022年までにロボタクシーを大量配備する計画を持っている。中国武漢には200台以上のロボタクシーが配備される見通しであり、また2022 Asian Games(2022年9月開催)のイベントで、100台以上規模のロボタクシーが、吉利に支援されているCao Cao Mobilityと配備することを狙っている。
【世界の自動運転システムの技術動向に興味がある方】
世界の自動運転システムの技術動向ベンチマーク調査、自動運転システムを開発するベンチャー企業の動向調査、ロボタクシーの実証動向調査などに興味がある方はこちらも参考。
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参考文献:
1) DeepRoute.ai(深圳元戎启行科技有限公司)の企業情報リンクはこちら
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