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米国エネルギー省(DOE)が空気から直接CO2を回収する技術に26億円超の助成

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米国エネルギー省(Department of Energy:DOE)が、空気から直接CO2を回収するDirect Air Capture(DAC)技術の研究開発に、24m$(約26.3億円)の助成を行うことを発表した。

世界で求められるカーボンニュートラル

世界的な気候変動への対応、及び環境技術を競争力に繋げるために、世界でカーボンニュートラルの動きが加速している。

米国のバイデン政権は、2050年までに温室効果ガスの実質排出ゼロを達成、そして、2030年には経済全体の正味温室効果ガス汚染を2005年のレベルから50〜52%削減するという新しい目標を掲げるなど、カーボンニュートラルに積極的な政策を推進している。

そうした中、米国エネルギー省においてもこうしたカーボンニュートラルに関わる技術の研究開発促進の動きが次々に発表されている。

空中からのCO2直接捕獲

CO2分離回収技術は過去から研究開発・実証が進んでいるが、主には排出源となる工場・プラント・発電所などでのCO2分離回収での実証が行われている。一方で、世界資源研究所(WRI)は、温度上昇を1.5-2°C(2.7-3.6°F)未満に保つためには、世紀半ばまでに10億トン規模の、空気からの直接の二酸化炭素除去が必要であると指摘1)している。

空中からの直接的なCO2分離回収(Direct Air Capture:DAC)は、理想的な技術である一方で、空気中に含まれるCO2はごくわずかであり、低コストで分離・回収することが難しい。

そのため、実用化のためにはDACの低コスト分離・回収技術の研究を国として支援していく必要があり、今回のDOEからの研究開発助成プログラムは、こうしたことが背景にある。

エネルギー長官のJennifer M. Granholm氏はこう述べている。

「大気から直接炭素を除去して貯蔵する方法を見つけることは、気候危機との戦いにおいて絶対に必要です。大学やDOEの研究所を通じた炭素回収技術研究への投資は、アメリカをこの成長分野のリーダーとして位置付け、高給の雇用を創出し、炭素のない未来を実現するのに役立ちます。」

9つのプロジェクトが受賞

今回のプロジェクトは、最長3年間の期間で実施され、総資金が24m$となっており、2021年度は8m$が助成される。

それぞれの研究プロジェクトは2つの国立研究所と7つの大学が主導している。プロジェクトの大枠は以下4テーマであり、この下に9つのプロジェクトがぶら下がっている形だ。

  • CO2回収を行うエネルギー効率の高いアプローチ(480万ドル)
    ワシントン大学、オクラホマ州立大学
  • 電気/光を活用したCO2回収・放出の制御方法(900万ドル)
    イリノイ大学、オークリッジ国立研究所、ケースウェスタンリザーブ大学
  • CO2回収・再生の効率改善の可能性のある材料・化合物探索(660万ドル)
    ノースカロライナA&T州立大学、オレゴン州立大学、ローレンスバークレー国立研究所
  • CO2回収システムの動的挙動のCO2回収・放出への影響調査(330万ドル)
    ノースウェスタン大学

【世界の二酸化炭素分離・回収技術の動向に興味がある方】

世界の二酸化炭素分離・回収技術を開発するベンチャー企業や、大学研究機関の技術動向調査やロングリスト調査などに興味がある方はこちらも参考。

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参考文献:

1) Direct Air Capture: Resource Considerations and Costs for Carbon Removal, WRI, January 6, 2021(リンクはこちら


  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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