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先行するアーバンエアモビリティ市場の立ち上がり、ブレードの決算から見えること

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アーバンエアモビリティは次世代のモビリティ市場として注目されており、多くの企業が空飛ぶ車・eVTOLの開発に参入している。一方で、この市場はほんとうに需要はあるのか、多くの企業が2024年前後で量産を開始すると言っているが、どのように市場が立ち上がるのか、新しい分野であるが故に不透明な部分が多い。

一方で、すでに都市でのエアタクシー(人の輸送)サービスを展開している企業が複数存在している。これらのエアタクシーサービス企業はローカルにネットワークを持ち、空での人の輸送をサービスとして提供しているものの、現状はeVTOLがまだ実証段階のため、ヘリコプターや小型ジェットでサービスを提供しながら、徐々にeVTOLへと機体を変更していくという戦略を描いている。

参考:Wiskがブレード社と提携、最大30台のeVTOLを保有・提供

ブレードアーバンエアモビリティ

ブレードアーバンエアモビリティ(BLADE Urban Air Mobility)は、2014年創業の米国のベンチャー企業だ。主には米国の都市部を対象としたネットワークを構築しており、とりわけ現時点ではニューヨークに複数のフライト地点を保有している。直近では米国の東海岸のニューヨーク、ワシントン、フィラデルフィアなどの都市部、そして西海岸のロサンゼルスとサンフランシスコでフライト拠点を整備するために投資をしていくことを表明している。

「アセットライトモデル」と表現される同社のビジネスモデルは、機体・パイロットを他社から提供を受け、自社のエアタクシーネットワークで運用する。

直近の売上は急成長している

ブレードは2021年5月にSPACで上場し、現在は米国新興市場のナスダックで取引が開始している。同社は8月16日に、2021年第三四半期の業績について発表した。

同社の発表した決算内容によると、2021年第三四半期の売上高は12.9m$(約14億円)であり、2020年第三四半期は3.4m$(約3.7億円)であったことから、前年同月比で277%もの成長を記録している。

なお、ここまでの2021年Q1~Q3の売上高合計は30.2m$(約33億円)であり、前年Q1~Q3では15.1m$(約17億円)と、売上がほぼ倍増している。

また、ブレードのエアタクシーサービスを利用する乗客数も拡大している。2019年までのデータしか公開されていないが、下記の通り右肩上がりでユーザーが増えている。

利用者数の推移(単位:人)

同社公開資料より当社作成

なお、ブレード社によると、同社の利用ユーザーは主に「高所得な旅行客」ということである。このターゲットユーザーがどれくらいの規模存在しているかというと、同社資料によれば、例えばニューヨークにある3つの空港の利用客全体で述べ年間1.4億人であり、その内、空港とマンハッタン(ニューヨーク市内)を行き来する人が2,700万人、中でも高所得でヘリコプターサービスに1フライト195$を払うことができる人がおおよそ300万人~500万人存在するようである。

上述のように2019年には年間約3.7万人のフライトユーザーがおり、2020年はCOVID-19の関係でやや全体落ち込んだものの、2021年はまた大きく成長基調にあることから、2021年はさらに利用者数は拡大することになりそうだ。

 

Blade社のHPはこちら


【世界のアーバンエアモビリティの技術動向に興味がある方】

世界のエアタクシーサービス事業の動向や、eVTOLを開発するベンチャー企業の動向、またはeVTOLに搭載する次世代電池の開発動向・ベンチャー企業のロングリスト調査などに興味がある方はこちらも参考。

グローバルでの先端技術受託リサーチ:詳細


  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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