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高解像度レーダーを開発するOculiiにGM Venturesが戦略的出資

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ソフトウェアアプローチによる高解像度レーダー技術を開発する米国ベンチャー企業のOculiiに、ゼネラルモーターズ傘下のGM Venturesが戦略的出資を実施したことが発表された。投資額については公開されていない。

シリーズBからわずか4か月で追加調達

今回のGM Venturesの出資は前回のシリーズBからわずか4か月で実施された資金調達となる。

参考:シリーズBで累計75m$を調達した高解像度レーダーベンチャーOculii

なお、GM VenturesはGM傘下のCVCであるが、投資ポリシーとしてはモビリティに関連するベンチャー企業に幅広く投資をしていく方針であり、これまでに52件の投資を行っている。おおよそシリーズA・B前後のラウンドで出資をすることが多く、出資後のEXITによるファイナンシャルリターンを狙うとともに、GMの自動車で利用できる技術を調査するという側面も持つ。

参考:【特集】欧米自動車OEMのスタートアップ投資動向2020(前編)

今回の出資においても、GMは将来のモビリティのユースケースで、OculiiのVAIソフトウェアの使用を検討するという。

ソフトウェアアプローチの高解像度レーダー

前回のシリーズBの記事でもまとめているが、Oculiiの技術はハードウェアではなく、独自に開発されたソフトウェア(VAI:Virtual Aperture Imaging)がベースとなっている。

このソフトウェアはハードウェアに依存せず機能する、と主張されており、従来の低コストのハードウェアにVAIを組み合わせることで、高解像度のレーダーを実現する。

とりわけ、EAGLEという、ADAS・自動運転向けのレーダーセンサーでは、350m以上の距離での物体検知を可能にし、角度分解能は方位角0.5°×仰角1.0°と、1°未満を実現しており、スペック上はかなりの高解像度となっている。

「ゼネラルモーターズは同社への投資と、GMの広範なビジョンであるゼロ衝突・ゼロ排出・ゼロ混雑をサポートする技術の実装、そしてレーダー技術を前進させるためのOculiiとの協業にコミットします。」と、GM VenturesのマネージングディレクターのWade Sheffer氏は述べている。

 

OculiiのHPはこちら


ー 技術アナリストの目 -
今回GM Venturesがレーダー技術を開発するOculiiに出資をしたわけですが、実はGM傘下のCruiseもAstyxというレーダーベンチャーを2020年に買収していました。Astyxも角度分解能1°未満を実現するべく新しいレーダー技術を開発していたわけですが、Astyxがハードウェアも含めた開発を行っていたのに対し、OculiiはAIアプローチで、技術軸が異なります。Astyxの開発が上手くいかなかったのか、またはOculiiのAIアプローチも含めて相乗効果を狙っているのかはわかりませんが、今後両社の技術の絡みもあるかもしれません。

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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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