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WHOOPがDatavantと提携し、ウェアラブルデータをプラットフォームに提供

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デバイスとアプリを活用したデジタルフィットネスソリューションを提供するWHOOPが、医療データプラットフォームのDatavantと提携し、WHOOPの保有するバイタルサインデータをDatavantのプラットフォームに提供することが、9月27日に発表された。

数万か所の医療機関のデータを接続するDatavant

Datavantは2017年設立の米国のベンチャー企業だ。

Crunchbaseによると現在シリーズBまで資金調達フェーズは進んでおり、これまでの累積資金調達額は80.5m$となっている。同社への出資者の中にはソフトバンクビジョンファンドも含まれる。

あまり見慣れない業態であるが、同社は医療・健康データのプラットフォームを提供している。このデータプラットフォームであるが、数万か所の医療機関と接続してデータを統合するものとなっている。具体的には2,000の病院、15,000の診療所、遺伝子ラボからのデータや健康保険データ、米国の死亡率データ、主要なEHRデータなど、膨大なデータソースが含まれる。

患者のプライバシーには当然配慮されており、それぞれの患者のデータは匿名化(ID化)される。そして、統合化された医療・健康のビッグデータを、政府機関やライフサイエンス・製薬企業、医療従事者、大学研究者などが活用する。

WHOOPのウェアラブルデータを提供

WHOOPはフィットネスを目的としたデバイスとアプリを提供している。

独自に開発した腕に身に着けるタイプのウェアラブルデバイスから心拍変動(HRV)、安静時心拍数(RHR)、睡眠状態、呼吸数などのバイオマーカーを測定することができる。

詳細は以下で解説している。

参考:デジタルフィットネスのWHOOPがソフトバンクビジョンファンド2等から約220億円の資金を調達

今回発表されたDatavantとのパートナーシップを通して、WHOOPが保有するバイタルサインのデータが、Datavantの医療・健康データプラットフォームに統合されることになる。Datavantとしては、こうしたウェアラブルから取得される大量のバイタルサインを統合することは、重要な意味を持つ。

Datavantの創業者兼社長のTravis May氏はこう述べている。

「従来、医療情報は、患者が診療所を訪れたときにのみ収集されます。これにより、患者の日常の健康を理解する上で大きなギャップが生じます。ウェアラブルデータを他のデータと安全に接続する機能は、健康における毎日の指標、病気の発症、および治療の影響の間の関係について前例のない洞察を提供します。」

 


ー 技術アナリストの目 -
米国ではこうした医療・健康データの統合プラットフォームが複数立ち上がっており、多数の医療機関がデータを提供しています。日本でも製薬企業19社とIBMが、第一三共をリーダーとしてブロックチェーン技術の活用検討をする研究会を立ち上げ、「疾患レジストリープラットフォーム」の構築などに取り組む動きなどがあります。しかし米国ではすでにビジネスベースで大規模なプラットフォーム化が進んでおり、大きく先行している現状があります。

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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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