米EpirusがシリーズDで373億円を調達。先端HPMプロダクトを国防総省に納入するスタートアップ

防衛装備品スタートアップの米Epirusは2025年3月5日、シリーズD資金調達ラウンドで$250m(約373億円)の確保を発表した。
Epirusは2018年、カリフォルニア州で設立。後述するように、高出力マイクロ波(HPM)で敵対勢力のドローンの無力化などが可能な「Leonidas」を主力プロダクトとする。他にも、ディープテックを用いたプロダクト開発を行う。
ミサイルを使わずにドローンを無力化
21世紀に入って以降、テロ・ゲリラ組織の台頭があり、「非対称戦」という言葉が使われるようになった。正規軍と、必ずしも国をバックボーンとしない勢力とが、戦場で対峙するケースが以前より増して見られるようになったということだ。
Epirusのウェブサイトには、自社のパーパスとして次の文言が掲げられている。
「私たちは、今日の非対称戦争における『ネオプライム』です。つまり、ニーズに先駆けて革新、構築、提供を行い、常に競争相手の一歩先を行くということです」
同じくウェブサイトには、こうしたパーパスを元に展開する、「エレクトロニックウォーフェア(電子線)」「エアドメインアウェアネス(空域認識)」「アドバンストエレクトロニクス(先進エレクトロニクス)」の3つの製品群が取り上げられている。
主力プロダクトであるLeonidasは、電子戦分野に該当。従来から、HPMを用いて対峙する勢力の兵器を電子的に妨害することは行われてきた。LeonidasもHPMにより電子戦に対応するプロダクトでありつつ、窒化ガリウム(GaN)半導体やオープンAPIの活用などにより、コスト面を含めた効率化を実現。ミサイルを利用せず、敵のドローンを無力化する。
一方、空域認識も敵対勢力の戦術的なドローン利用に対し、飛行体の検出、識別、追跡、分析も行うものを開発しているが、軍だけでなく一般的な航空産業やインフラ産業での安全確保のため利用されることも想定。先端エレクトロニクスでは、効率的な電源管理、AI、ハードウエアの能力に頼らないソフトウエア開発を行っている。
すでにLeonidasは、米国防総省が調達している。また、2024年10月にEpirusは、HPMに関する新たなソフトウエア開発のため、米陸軍と$17m(約25億円。当時レート)の契約締結を発表した。
米陸軍に納入されたLeonidas(Epirusプレスリリースより)
General Dynamics Land Systemsも対応
シリーズDはベンチャーキャピタル(VC)2社が主導。また、同じく防衛装備品メーカーであるGeneral Dynamics Land Systemsも応じた。
発表に際しEpirusは資金を、人材確保、マーケティング、製造面の拡大に利用することを示唆している。
EpirusのAndy Lowery CEOは次のようにコメントした。
「短距離防空において『1対1』の考え方から『1対多数』の考え方への転換が求められており、当社は新たな戦闘方法で国防総省を支援する準備ができている。今回の資金により、Leonidasの製造能力を大幅に強化し、次の成長段階に向けた準備ができる」
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