AGI開発のTuringがシリーズEで166億円を調達。この1年でARRが3倍に成長したスタートアップ

汎用人工知能(AGI)を開発する米Turingは2025年3月6日、シリーズE資金調達ラウンドでの$111m(約166億円)の確保を発表した。
Turingは2018年、シリコンバレー(パロアルト)で設立。共同創業者であるJonathan Siddarth CEO、Vijay Krishnan CTOはともにインド出身の人物である。
LLMを「法学修士」並みに育てるAGI
AGIは「汎用」という語が入っているように、分野を特定せずに利用できる人工知能(AI)のことだ。逆にいえば、既存のAIは特定の分野での利用が前提となっている。
また、AGIの汎用性とは具体的に、人間並みにさまざまな仕事ができるという文脈で語られることもある。相応に能力が高いものともなるが、AGIが登場する時期について、OpenAIのSam Altman氏は2025年、TeslaやSpaceXなどを創業したElon Musk氏はこの一両年内であるとコメントしている。
前出のSiddharth氏とKrishnan氏がAGI開発企業としてTuringを創業したのは、それ以前の起業でグローバルに「良い人材」を見つけるのが大変だったから、だという。詳細なプロフィール、厳格な審査プロセス、さらにそれらの管理をしていくためのプラットフォームの必要性を感じ、ソリューションとして浮かび上がったのがAGIだったということだ。
右端の人物がSiddharth氏。2024年7月に開催されたイベントのファイアサイドチャットの模様(Turingプレスリリースより)
こうした背景から、現段階のTuringは生成AIを大企業の業務プロセスに実装する事業を行う。Turingのウェブサイトには、利用者としてDell、Pepsi、Volvo、Disney +のロゴが掲げられている。
また、AGI分野では大規模言語モデル(LLM)の評価、トレーニング、事実検証が行える環境を追求。例えば、トレーニングの面ではLLMを「最高品質の法学修士課程修了者」にまで育成することを目指す。
2025年1月には、年次経常収益(ARR)が$300m(約465億円。当時レート)となったと発表。前年のARRの3倍となっている。
CEOは「投資家からの信頼」をアピール
シリーズEはマレーシアの政府系ファンドが主導し、ベンチャーキャピタル(VC)10社が応じた。Turingの資金調達総額は、今回までで$167m(約249億円)に上る。
資金は、研究開発、販売、マーケティング活動に利用。中でも研究開発は「Turing AGI Advancement」、「Turing Intelligence」と名付けられた2分野に投資し、前者はAI、AGIの機能向上、後者は企業の現場で利用されるアプリケーションとなる。
CEOのSiddharth氏は、前述の人材採用に絡めたコメントを次のように発している。
「Turingは、世界で人間の潜在能力を解き放つという使命を掲げている。われわれは世界最大の人材クラウド上に一連の製品を構築し、AIモデルを改善し、その上にアプリケーションを構築してきた。
人材の審査にAIを使用することで、プラットフォームを急速に成長させ、世界で最も才能のある400万人以上のソフトウェアエンジニア、データサイエンティスト、STEMの専門家を擁するようになった。シリーズEラウンドは、われわれの重要な役割に対する投資家の信頼を強調するものだ」
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