宇宙スタートアップのFleet Space TechnologiesがシリーズDで145億円を調達。ESA出身者らが立ち上げたオーストラリア企業
宇宙スタートアップのFleet Space Technologiesは2024年12月12日、シリーズD資金調達ラウンドが完了したと発表。同ラウンドの調達額は、1億5000万オーストラリアドル($95m、145億円)に上った。
同社は2013年、欧州宇宙機関(ESA)でエンジニアを務めていたFlavia Tata Nardini氏(現CEO)と、エアモビリティに関するスタートアップを2社立ち上げたMatthew Pearson氏(現最高探査責任者)によって、オーストラリアのアデレードで設立。現在は、Flavia 氏の夫であるFederico Tata Nardini 氏もCFOとして加わっている。
「鉱物探査」「宇宙探査」「防衛」の3分野が主戦場
Fleet Spaceが開発するのは、「ExoSphere (外気圏)」と名付けられた探査プラットフォーム。ExoSphereは、宇宙技術、マルチフィジックス(連成解析)、AIといった技術を統合的に活用するものだ。このプラットフォームは、「地球の鉱物探査」「宇宙探査」「防衛」の3分野で使われることを想定する。
鉱物探査の分野では、ExoSphereによって宇宙から地球の深さ2.5キロメートルまでの地理的構造や鉱脈などを画像化。2024年10月には、チリ北部の鉱物探査にExoSphereが利用されたことをFleet Spaceが発表している。
宇宙探査では、月震(月で起こる地震)を非侵襲的に観測する月探査ミッションを2026年に行うと掲げる。さらに、月の次のステップとして火星探査ももくろむ。
防衛分野は、低軌道(LEO)衛星を活用したソリューション。現在、オーストラリア軍向けに音声やデータを伝送するシステムを開発中だという。なおFleet Spaceは、前述の鉱物探査も国家安全保障、経済安全保障の一環であり防衛分野と大きく関連するものと説明する。
クリーンエネルギーを実現するための鉱物探査
シリーズDは、ベンチャーキャピタル(VC)や年金基金向けの投資ファンドが応じた。資金はExoSphereの機能を拡張し、特に「クリーンエネルギーに必要な鉱物の探査発見を加速させる」と、Fleet Spaceは強調する。
CEOのFlavia氏は、次のようにコメントした。
「ExoSphere はAI・ビッグデータ・宇宙と鉱物探査という2方面の技術を統合し、採掘業界が世界的に利用できるプラットフォームだ。(今回の調達やExoSphereそのものが)環境への影響を抑えながら素晴らしい未来を発見するためのステップとなる」
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