LNTFデバイス開発のHyperLight、VCが主導する53億円の資金調達で成長の加速を目指す
HyperLight Corporationは、ベンチャーキャピタル(VC)のSummit Partnersが主導する$37m(約53億円)のシリーズB資金調達ラウンドを完了したと2024年9月23日、発表した。このラウンドには他2社のVCが参加している。
Hyperlightは光学半導体を開発し、広帯域のプロダクトが特徴。
薄膜ニオブ酸リチウム技術に定評
マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置くHyperLightは、ハーバード大学のスピンオフ企業であり、2018年に設立。薄膜ニオブ酸リチウム(Lithium Niobate Thin Film。LNTF)技術に強みをもつ。
LNTFはニオブ酸リチウムの材料を薄膜として形成したもので、光学的および電子的特性に優れたもの。光通信、光変調器、表面弾性波デバイス、非線形光学デバイスなど、さまざまな分野で広く使用されている。
また、光通信回路の集積化(PIC)にも適しており、通信需要の高まりに適した、シリコンに変わる光通信デバイスの材料として注目されている。
近年、インターネットの発達や、生成AIの需要の高まりなどで、通信需要が増大。光通信にはさらなる大容量化が求められており、また、光通信デバイスの量産化も求められている。
さらに、小型化も求められており、シリコンに変わる新しいデバイス材料が求められていた。
HyperLight の光通信デバイスは、100 GHzという非常に広い帯域幅を持ち、1デシベルという低いオンチップ損失で、1ボルトの駆動電圧で動作するという特徴を持つ。
今後の戦略は製品ライナップの強化と顧客志向の強化か?
今回の資金獲得に際し、Summit PartnersのPeter Chung CEOは「HyperLight は、先駆的なイノベーションと強力な実行力という素晴らしい実績を確立した」と評価しており、技術力とその実現性・再現性が投資につながったようだ。また、光通信分野の成長性は高く、この点も好意的に判断されたものといえるだろう。
調達した資金の使途は、「製品開発を加速し、急速に高まる顧客の需要を満たす」としており、より多様な製品開発やサプライチェーンの強化などを目論んでいると考えられる。
HyperLight Corporationの社長兼CEOであるMian Zhang氏は以下のように述べた。
「E-TEK Dynamics、Finisar、MACOM、Acacia Communicationsへの投資など、フォトニクス分野での能力と豊富な経験を持つSummit Partnersを新たな投資家として迎えることができ、大変嬉しく思う」
この投資により前出のPeter Chung氏がHyperLightの取締役会に加わる。
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