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エアタクシー開発の米スタートアップ・Joby AviationがPOで最大450億円獲得を目指す。直近のトヨタからの投資と合わせて1500億円超を調達へ

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電動エアタクシー開発の米スタートアップ、Joby Aviationが公募増資(PO)による資金調達を開始した。米証券取引委員会(SEC)の発表によれば、開始日は2024年12月10日。最大$300m(約450億円)の調達を見込む。

同社は、2009年にカリフォルニア州サンタクルーズで創業し、2021年にはニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場している。

パートナーシップと買収により事業拡大を継続

Jovyが開発するエアタクシーは、胴体がセスナ機のような形状をしており、翼に6発のエンジン(とプロペラ)が付いた電動垂直離着陸機(eVTOL)。1人のパイロットで飛行でき、乗客数は最大4人となっている。最高速度は時速200マイル(時速約320キロメートル)を公称する。

Jobyのエアタクシー(同社プレスリリースより)

2023年に初号機を生産し、こちらはカリフォルニア州の工場でつくられたが、同年にオハイオ州のデイトン国際空港近隣に量産用の工場を建設すると発表した。

また、資金調達開始後の2024年12月17日には、米連邦航空局(FAA)による初めてのテストを実施。よって、型式認証はこれからとなる。

事業のナーチャリングの面では、2019年にトヨタ自動車からの資本面・技術面での提携を開始。後述するように、トヨタはその後もJobyに対し、投資を継続している。

また、翌2020年には、Uberのエアモビリティ部門であるUber Elevateを買収し、将来的にJobyとUberのアプリを統合することを発表していた。

参考記事:UberがJoby Aviationにエアモビリティ部門を売却

航空大手のDelta Air Linesとも提携し、利用客の自宅と空港間をJobyのエアタクシーで結ぶ構想を持つ。さらに、2024年2月にはアラブ首長国連邦ドバイ道路交通局と2026年までにドバイでエアタクシーサービスを展開する契約を締結している。

POに関して獲得した資金とほぼ同額を、トヨタも投資

2024年12月に始まったPOは、公募価格が1株$8.53(約1280円)で、約350万株を売却予定。引受会社は、Morgan StanleyとAllen & Companyが務める。なお、これら引受会社は前述の$300mとは別に$222m(約340億円。10月の発表・支払時ではなく、12月のPO開始時のレート)をJobyに支払っており、合わせると$522m(約790億円)に上る。

Jobyがここ最近で得た資金は、こればかりでない。POの発表とほぼ同時期、前述のトヨタが$500m(約750億円。同じく12月のレート)を追加投資した。つまり、Jobyは2024年後半だけで日本円にして1500億円超を獲得しているということだ。

POで調達する資金は、認証、製造、運転資金に充てられると発表。PO開始時、特にJobyからコメントは発信されていない




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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